2014 Fiscal Year Research-status Report
社会的所有に関する知識社会学的研究--賃労働社会との関係を中心に
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25380684
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
宇城 輝人 関西大学, 社会学部, 教授 (60381703)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 社会的なもの / 所有 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目に相当する今年度は、前年度の研究成果を踏まえて、3つの研究対象領域のうち「社会的所有の概念史」と「プルードンにおける所有思想」の検討に重点をおき、国内外の先行研究および一次文献資料を広くサーヴェイし、研究史の達成と対象領域の全体的見取り図的について整理を行った。 社会的所有の概念史の部分として、都市空間と公営住宅・労働者住宅のフランスにおける歴史的展開について文献的検討を行った。都市空間と私的な生活空間の切断と接続の場としての住宅団地の意義について、先行研究を参照しながら検討した。都市空間と団地の空間利用について実地について観察する必要が生じたため、2014年2月フランスのパリ市内および郊外団地にてフィールドワークを行った。その機会に、日本国内ではアクセス不能な文献を閲覧するためにフランス国立図書館にて調査を実施した。 同時に、プルードンにおける所有の概念の変遷についてやや掘り下げた研究に着手することができた。プルードン『貧困の哲学』の邦訳(斉藤悦則訳、平凡社、2014年)が折よく翻訳刊行され、国内の文献状況に大きな変化が生じたので、国内外の研究状況の確認をかねて2015年度前半に日仏社会学会主催のシンポジウムに参加することを前提に研究を進めた。このシンポジウムに向けて、プルードンの所有論における『貧困の哲学』をプルードン個人の思想の時系列変化に即して位置づけ、同時に、19世紀半ばにおける社会的所有の萌芽段階の思想と実践との関係を思想史的に検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書における研究計画の今年度以降の項目に記載したように、本研究は「社会的所有の概念史」、「プルードンおよびプルードン主義における所有思想」、「個人製の社会的基盤」の3つの研究領域を設定している。それらについて同時並行的に研究を進める過程において「社会的所有」と「プルードン」に力点をおいたが、公営住宅ないし労働者住宅を焦点のひとつとしたことによって、19世紀におけるフランス労働者階級の「個人性」にも研究がおよぶ格好になった。そのため、最終年度の作業に向けて、まとめのよい糸口を発見することができた。以上のことに鑑みるに、本研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のとおり、本研究は「おおむね順調に進展している」と評価されるものであることから、交付申請書に述べた研究計画に準拠しながら、研究遂行の途上で必要が生じることがあればその都度、研究計画を再検討し、必要があれば変更を加えながら、研究を遂行していくのが順当であると考える。 具体的には、前2年度の3つの領域における研究作業の全体を振り返り、事前の予想と異なる展開をすることになった部分をその他の部分と調整を図り、全体の整合性に留意しながら、まとめの作業にとりかかりたいと考えている。 それと同時に、この思想史的研究が21世紀の現代社会の状況にたいしてもつ示唆を掘り下げ、社会的所有の現代的意義と、現代的な個人主義の展開とその含意について有益な解釈を提示する予定である。
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Causes of Carryover |
図書購入に当たり手続きが一部完了せず、会計処理が期日までに間に合わなかったため、次年度へ支出を見送り、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越分を含む平成27年度の使用計画は下記のとおりである。
物品費 1,620,378円、旅費 1,650,000円、人件費・謝金 90,000円、その他 60,000円
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