2015 Fiscal Year Annual Research Report
社会的所有に関する知識社会学的研究--賃労働社会との関係を中心に
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25380684
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
宇城 輝人 関西大学, 社会学部, 教授 (60381703)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 社会的所有 / 社会的なもの / 個人主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度にあたる本年度は、前2年度の研究成果を踏まえて3つの研究領域すなわち「社会的所有の概念史」、「プルードンにおける所有思想」、「個人性の社会的基盤」の相互連関を重視して全体をとりまとめる考察に着手した。そのさい各領域の分析に修正を行う必要が生じた場合に、分析の再検討を行い見通しの修正を行った。とりわけ「社会的所有の概念史」について、第2次大戦直後のフランスでの社会保障体制の確立過程におけるピエール・ラロックの仕事とその思想の意義を再確認する必要性が生じたために、2016年3月に国内でアクセスできない文献を求めてフランス国立図書館と社会博物館にて新たに文献調査を行った。 所有の歴史的起源に関する論争が、19世紀の初頭と末に、歴史学と法学と社会学の交差する地点で行われた。この2つの論争は、国家秩序を正当化する「物語」にかかわるもので、それぞれ自由主義的な国家秩序における個人の存立、社会的な国家秩序における個人の存立のための制度を方向づける役割を果たした。この論争の内容と歴史的繋がりを縦糸に、私的所有と社会的所有の関連性、またプルードンの大きな振幅をみせる所有思想の位置づけを試みた。 20世紀以降の展開については、福祉国家の社会保障と日常生活の消費社会化という大がかりな変容を踏まえて、新しい個人主義の様相、具体的に言い直すならば、社会不安が個人化され、また同時に新たな社会分断が人種化されたかたちで現象するその様相について考察を深め、まとめる作業を進めた。 以上の研究成果は遠からずいくつかの論文にまとめ、公表する予定である。
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Research Products
(2 results)