2013 Fiscal Year Research-status Report
「隣る人」の意義――震災・津波災害当事者中・長期的支援法の開発
Project/Area Number |
25380765
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tokyo International University |
Principal Investigator |
植村 清加 東京国際大学, 商学部, 講師 (30551668)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村井 美紀 東京国際大学, 人間社会学部, 准教授 (70202760)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 中・長期的災害支援法 / 隣る人 / ボランティア / 協働 / 社会福祉 / 文化人類学 / からだ / こども |
Research Abstract |
本研究は、東日本大震災を経験した岩手県陸前高田市において、フィールドワークの手法とボランティア活動を通して、地域の個別具体性に基づいた回復過程に「隣る人」として伴走する中・長期的な災害支援法を探るものである。今年度の活動は以下の通りである。 (1)年間3回の全体研究会を行い、専門領域の異なる共同研究メンバー間で、課題の共有、「隣る人」概念に関する検討を行った。また各自のこれまでの研究蓄積に基づく役割分担と本課題での協働フィールドワークの体制づくりを行った。 (2)現地でのカウンターパートとなる諸関係機関・諸個人と継続的関係をもち、学生・社会人ボランティアを動員した現地での活動(保育園児とのボディペインティング交流。8月)、現地の状況変化や課題に対応した幼児のからだづくりプロジェクトの立ち上げ、幼児の体力測定(2月)を実施した。活動打ち合わせ・実施・フィードバックを軸に、諸関係者とコンスタントに顔を合わせるなかで、「隣る人」としての認知が進み、地域環境が大きく変化する現状も含めた被災・復興経験の聞き取りをはじめている。 (3)ボランティア参加者に対する聞き取り調査(活動フィードバック・日常における被災地訪問・ボランティア活動経験の意味の理解、活用・影響等)を開始した。ボランティア参加者の日常とつなぐことで、被災地の「内」と「外」がどのような人々に媒介されているか、被災者・被災地域の生活再編に与える影響だけでなく、支援者としての被災者・被災地域という側面や、地域間の往還を通じてさまざまなアクターをつなぐ複合的な要素の変化が見えつつある。 今年度の成果は、専門領域の異なるメンバー間、研究組織と現地カウンターパートとなる諸関係者間、被災者とボランティア間といった、複数の差異を生かしながら次年度の協働研究体制・連携協力体制をつくれた点にある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各研究者が本課題の地域とテーマでの実地調査および現地での活動を順調に実施したこと。それらの諸活動を通じて各自がそれぞれに共同研究や連携協力の方法を設定できたこと。それにより、26年度以降の課題の明確化と研究の実現可能性を高めることができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
・引き続き、代表者と分担者が文献研究、フィールドワークと柔軟なボランティア活動を組み合わせた実地での調査研究を行う。 ・計画では、26年度に海外の事情調査に1名を派遣する予定であったが、子どものからだづくりを通じてよりミクロな地域性のなかで変化する現状を把握することを優先させることとし、分担研究者を2名増やして補強するとともに、海外を含む他地域の事例については専門家の招聘・意見交換に代替することとした。 ・異なる専門分野の視点・手法をフィールドワークとボランティア活動の共同実践のなかで組み合わせることで、多角的な観点から中・長期的な被災経験を捉え、その回復に向けた社会協働的な支援モデルを検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
共同研究者間の文献・備品等の共有がスムーズだったこと、被災地の物質的環境変化とボランティア活動の内容自体の変化を受け、ボランティアの滞在・活動雑費が当初の計上よりも少なく済んだため。 異なる専門領域間の視点や手法の違いを統合的に捉えられる作業の仕組みの構築と被災者と支援者を結びつける講演会またはワークショップの開催費用とする。
|