2014 Fiscal Year Research-status Report
「隣る人」の意義――震災・津波災害当事者中・長期的支援法の開発
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25380765
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Research Institution | Tokyo International University |
Principal Investigator |
植村 清加 東京国際大学, 商学部, 講師 (30551668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村井 美紀 東京国際大学, 人間社会学部, 准教授 (70202760)
大石 健二 日本体育大学, 体育学部, 准教授 (60581410)
坪内 千明 東洋英和女学院大学, 人間科学部, 教授 (90247081)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 隣る人 / よそ者に語る / 協働 / こども / からだ / 地域と地域をつなぐ / 中・長期的災害支援法 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、4名の共同研究者と1名の研究協力者の継続的な研究体制で(1)陸前高田におけるボランティア活動を通じて「隣る人」としての認知を広げるとともに、(2)被災・復興経験に関する語りの経年変化に寄り添うこと、(3)他地域での災害・被災地支援活動に関する研究や経験を参照することを大きな柱として、スタートした。具体的内容と成果を以下の3点に示す。 (1)地域環境の変化と子どもの生活・体力への現地の心配をうけ、陸前高田市の5つ保育園と連携し、年2回の体力測定(5月、10・11月)と保護者アンケート(5月)を実施し、その結果のフィードバックを行った。また、青空洋服店ボランティアの企画(9月)を通じて仮設住宅での生活の聞き取りや、継続的な訪問を行った。いずれも活動には学生・社会人ボランティアを動員した。かさ上げ工事の進捗や集落再生案の模索、復興住宅の完成等、進行する町の変化や時間経過の影響で、生活の場の捉え方に個々の選択やゆらぎがみられる一方で、地域を再度つくろうと試行錯誤が続けられている。 (2)これまでの活動を通じて「隣る人」として認知してくださった陸前高田の各個人を折に触れて訪問し、被災・復興経験を語っていただいている。並行して新たにつくられたNPOや営業を当地で再開している方々、地元議員の方や外国出身の住民の方など、より広い方々の多様な語りをお聞きできた他、今年度は2名の方に学生たちに対する座談会の形態(8・9月)でお話いただいた。 (3)年間5回の研究会を開催。うち1回は震災・復興経験の視察を兼ねて中越地震から10年を迎えた新潟県長岡市を訪問し、保育園の先生方や役場の方、山間部の集落で住民の方々お話を伺った。被災経験からの地域再生のプロセスや現在の地域の課題から、多くの示唆を得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の柱を軸に、現地カウンターパートとの間で継続的な活動を実施できたこと、各研究者が継続的に同じ地域の課題から個別のテーマを深化させることができた点、継続的な関係構築と重点的人物を中核に地域への関わり方が進んだ点で順調に進んでいる。初年度よりメンバーが増加した分、異分野の共同研究として各分野の手法の可視化や統合がやや困難になったため、共同研究の手法としては若干の軌道修正が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、代表者と分担者で継続的で柔軟な活動と、フィールドワーク、文献研究を組み合わせた実地での調査研究を行う。 ひとつは、子どもたちのからだを入口に、保護者(家族やその生活ネットワーク)・地域(よりミクロな地域性)のなかで、被災以後の課題を掘り下げていく。もうひとつは、これまでに継続的な関係を構築してきている重点的な人物(保育関係者、行政、仮設住居や自治会、寺院、NPO等)を中核に、被災以後の人びとの回復と地域の再構築に向けた語りの経年変化と生活の変化に伴走する。 また、次年度の社会協働的な活動として、中越と陸前高田の保育士同士の交流会を企画中である。専門職であり生活者として直面するさまざまな現場・現行の問題や防災・地域課題の技術的な回避策を相互に語り合う場をつくることで、地域と地域をつなぎながら当事者による自助的な支援モデルができないかと検討している。 以上の研究活動の成果として、次年度は異分野間、異業種間、異地域間での手法を統合的に検討した枠組として「隣る人」支援モデルを構築することを目標とする。
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Causes of Carryover |
継続性と現地カウンターパートの存在から共同研究を実施するにあたって、活動に関わるフォローがうまくいき、結果として活動費・滞在費・人件費・備品等の共有がスムーズだったことと、以下に示す次年度の使用計画のために次年度への繰越を行った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
過去2年の経緯と現地カウンターパートの要請から、最終年度にもこどもたちの体力測定を実施して被災地域の環境変化とともにその経過を検討することと、中越地域との当事者間交流を提案したため、その研究活動費に充てることとする。
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Research Products
(2 results)