2014 Fiscal Year Research-status Report
人称的な連帯の再編による地域の支えあいのあり方:公共哲学の視座からの研究
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25380772
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
妻鹿 ふみ子 東海大学, 健康科学部, 教授 (60351946)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 居場所 / 親密圏 / ケース・スタディ / 持続可能性 / KJ法 / 質的調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
持続可能な地域の福祉実現のためのアプローチについて、地縁血縁に依らないオルタナティブな親密圏(近さ)を構想し、これまでとは異なるつながりに依拠する人称的な連帯によって地域の支えあいのシステムを作ることが不可避であり実際的ではないか、という本研究の仮説を平成26年度は、インタビュ調査ーと非参与観察によるケース・スタディによって検証した。 本研究で対象としているのは、これまでコミュニティにおいて行われていたような、援助者、被援助者が明確に線引きされているような実践ではなく、そこに集う人びとが、これまでとは違う、すなわちオルタナティブな関係性でいることのできる「居場所」の実践を行っている事例である。そのような事例にフォーカスし、活動を立ち上げ、実質的に責任を持って運営をしている団体の責任者(代表理事、事務局長等)を対象にインタビューならびに参与観察を実施した。調査は予備的調査も含めると平成25年8月から平成26年2月に行い、結果として4か所の実践のケース・スタディを実施することができた。 ケース・スタディの分析については、KJ法を採用し、A型図解、B型文章化を行い、A型図解で得られた10のコードをもとに、事例ーコードマトリックスを作成し、分析した。 「何がオルタナティブな居場所なのか」「オルタナティブな居場所の中身とはどのようなものなのか」という命題に対する答えとして得られた新たな仮説は、オルタナティブな居場所の設立者(責任者)は、「境界にいる人」である、というものである。「境界にいる人」が意図的なしかけをすることで、居場所がこれまでにない意味を持つのだという点が明らかになったといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査の基礎データのまとめと分析に若干時間を要したが、1年目の後半に行った調査結果の分析を取りまとめを行って、居場所事例の分析から、仮説を検証する、という当初の2年目の研究計画は、ほぼ達成できたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、理論研究と調査研究とを接合させ、地域で人びとが支えあって、オルタナティブな人称的連帯を形成するときに、どのような規範理論が思想的な支えとなり得るのかを明らかにする。
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Causes of Carryover |
購入予定であった洋書が品切れ、再版未定等により入手できなかったため、書籍購入費が予算を下回ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
再度必要な書籍を精査し、昨年購入できなかった海外の文献の代替となるものを購入する。
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Research Products
(3 results)