2014 Fiscal Year Research-status Report
聴覚障害者への相談支援における文化モデルアプローチの研究
Project/Area Number |
25380811
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Research Institution | Shitennoji University |
Principal Investigator |
原 順子 四天王寺大学, 人文社会学部, 教授 (60309359)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 文化モデルアプローチ / 聴覚障害ソーシャルワーク / ろう文化 / 聴覚障害者 / ソーシャルワーク / 相談支援 / デフスタディーズ(ろう者学) |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、聴覚障害者への相談支援における支援モデルとして、聴覚障害者の「ろう文化」を基盤としたストレングス視点に基づく「文化モデルアプローチ」が有効であることを実証し、且つ、理論化することを目的としている。4年間の研究計画の2年目は、以下の3領域について調査研究を行った。 1.「ろう文化」に関する研究:初年度に先行研究のレビューを行い、「ろう文化」の構成要素をまとめたが、更にレビューを継続し、「ろう文化」を基盤とする具体的なアプローチについての情報収集を行った。ソーシャルワークだけではなく、対人援助にかかわる領域において、ろう文化視点を重要視していることが明らかとなった。 2.聴覚障害者への相談支援を行っているソーシャルワーカーを対象にした質的調査:初年度は国家資格(社会福祉士・精神保健福祉士)の有資格者を対象としたインタビュー調査を行ったが、今年度はインタビュー対象者の範囲を広げ、国家資格をもたない相談員も対象にインタビュー調査を継続した。 3.イギリスでの調査:イギリス(北アイルランド)で開催された「The 6th World Congress on Mental Health and Deafness(第6回メンタルヘルスと聴覚障害世界学会)」に出席し、聴覚障害者のメンタルヘルスに関わる各国の実情や支援内容について情報収集を行った。本学会には聴覚障害者への相談支援を行っているソーシャルワーカーが多数参加しており、特に北アイルランドのソーシャルワーカーから、聴覚障害者への具体的な相談支援に関する情報収集を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間は4年間であるが、2年目の「研究目的」の達成課題については、概ね予定通りに進んでいる。研究計画の「ろうあ者相談員を対象にした量的調査」に関してはまだ完了していないが、この研究課題は当初から3年目にも継続予定としている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度以降の研究計画は、以下の通りである。 1.「ろう文化」に関する研究:引き続き先行研究をレビューし、研究を継続していく。特に「ろう文化」の具体的な内容を明らかにする。 2.聴覚障害者への相談支援を行っているソーシャルワーカーへの質的調査:継続してインタビュー調査を行う。研究計画では3年間を通じて実施する質的調査を予定しており、その研究結果の公表を行う。 3.「世界ろう者会議」での調査:4年に一度開催される「世界ろう者会議」(トルコで開催)に出席し、世界の聴覚障害者に関する情報収集と、ソーシャルワーカーにインタビューを行い、文化モデルアプローチの実践に関する聞き取り調査を行う。 4.ろうあ者相談員を対象に量的調査の実施:質問紙調査を不得手とする対象者を考慮し、インタビュー調査に変更することも視野に入れて実施する。
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Causes of Carryover |
ろうあ者相談員への量的調査の実施が完了できなかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ろうあ者相談員への量的調査または質的調査を実施する。
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