2016 Fiscal Year Annual Research Report
Psychological Sense of Community and Related Concepts in Minority Communities: A Comparative Global Approach
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25380851
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
笹尾 敏明 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (10296791)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | コミュニティ感覚 / ウエルビーイイング / 中高生 / 在日コリアン / ソーシャルキャピタル / コリアンコミュ二ティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の中枢概念である「コミュニティ感覚」は単なる個人的変数ではなく,マクロレベルの場所や心理社会的要素を含んだ社会的関係資本(ソーシャルキャピタル)として位置付けられており,その尺度も一般的に確立されている。国内では,笹尾ら(2003)がMcMillan & Chavis(1986)の構成概念から作成した日本語版尺度などが用いられ,様々なコミュニティにおいて検討がなされている。その一方で,コミュニティ感覚は,従前の理論的考察によって,その枠組みが規定されているため,必ずしもある文化圏におけるコミュニティに存在する心理社会的資源を捉えきれていないという課題がある。それゆえ、本研究では,質的/量的アプローチの統合的検討から,様々なコミュニティに適用可能なコミュニティ感覚尺度を作成して、その生態学的妥当性を確保し,異文化間妥当性を確保することが目的である、2016年度は、日本在住の韓国にルーツをもつ中高生を対象にした調査のデータ分析を行い,中高生の地域と学校へのコミュニティ感覚が,彼らのウェルビーイングとどのように関連するかなどを検討した。調査の対象は,中学生296名および高校生174名であり,そのうち417名が韓国籍,15名が日本籍,2名が2つの国籍であった。得られた主な結果として次のことが挙げられる。在日韓国人の居住地域および学校へのコミュニティ感覚と主観的ウェルビーイングとの関連を相関分析により検討した。その結果,居住地域および学校へのコミュニティ感覚と,主観的ウェルビーイングには弱いながらも正の相関が見られた。次に,主観的ウェルビーイングを従属変数,発達段階(中学生か高校生)と地域および学校へのコミュニティ感覚を独立変数とする階層重回帰分析を行った結果,発達段階には主観的ウェルビーイングへの影響が見られなかったが,それぞれのコミュニティ感覚が主観的ウェルビーイングに正の影響を与えることが示唆された。
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Research Products
(7 results)