2015 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害のある子どもの日本版WISC-Ⅳの妥当性と臨床適用に関する研究
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25380914
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡田 智 北海道大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (10458862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 玄 (小林玄) 立教女学院短期大学, その他部局等, 講師 (10711327)
辻 義人 小樽商科大学, 学内共同利用施設等, 助教 (80400076)
鳥居 深雪 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (90449976)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | WISC-Ⅳ / 自閉症スペクトラム障害 / ADHD / 行動観察 / 生態学的情報 / 解釈システム |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目から3年目にかけて,国内外のWISCに関する行動観察の評定(検査者評定)について国内外の研究及び実践で使用されているツールをレビューし,検査行動チェックリスト(TBC)を作成した。また,下位検査ごとの観察の観点(プロセス観察シート)も作成した。新しくクリニックや大学に来談しらケースに,WISC-Ⅳとともに,これらのチェックリスト及びADHD評価尺度(ADHD-RS)及び広汎性発達障害評定尺度(PARS)を実施し,データ収集を行った。 結果,自閉症スペクトラム障害(ASD)のある子どものデータで10の基本検査に,2の補助検査を加えた12検査の検証的因子分析から,ASDの認知特性が反映されていると考えられるCHC因子の下位検査構造が支持された。また,クラスター分析からはCHC因子でASDを捉える意義,つまり,視覚処理(Gv)と流動性推理(Gf)を分けることの意義が確認された。 また,TBC,ADHD-RS,PARSとWISC-Ⅳ指標得点の関連の分析から,指標得点と「注意集中」及び「自閉症特性」には明確な関連がなかったこと,検査行動「注意集中」及び「社会性」の評価は,ADHD特性及びASD特性との関連があったことが示された。また,検査の教示文などの理解の程度によって,指標得点が大きく変動することも示された。指標得点の解釈についての留意点,また,検査行動「注意集中」「社会性」がASD特性,ADHD特性を評価する際には有効であることなどが考察された。 3年間の研究成果としては,WISC-Ⅳの解釈の際の留意点が明確になったこと,特に,検査の行動観察やプロセス観察情報,そして,生態学的情報との照合による検査得点を解釈することのエビデンスが得られたのは意義があったと言える。
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Research Products
(3 results)