2013 Fiscal Year Research-status Report
小児の聴覚処理障害に対する評価と教育臨床心理的支援
Project/Area Number |
25380925
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
芦谷 道子 滋賀大学, 教育学部, 准教授 (70452232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
友田 幸一 関西医科大学, 医学部, 教授 (50164041)
土井 直 関西医科大学, 医学部, 准教授 (60288826)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 聴覚処理障害 / 小児 / 評価 / 聴覚処理検査 |
Research Abstract |
①小児聴覚処理障害(APD)の評価に関して、以下の検討を行った。 まず、小渕、原島らの研究をもとにAPD概念の整理を行い、純粋なAPD症例はまれであり、多くは発達的問題が背景にあることを確認した。診断には多分野からの評価が必要であり、診断には慎重であるべきとの考えより、聴覚処理障害(APD:Auditory Processing Disorder)という診断的概念より、むしろ聴覚処理問題(APP:Auditory Processing Problem)という症状的概念を通して、今後問題を捉えていくこととした。 また、APP評価に必要な検査を検討し、自覚的聴覚検査(純音聴力検査・語音聴力検査)、他覚的聴力検査(耳音響放射・聴性脳幹反応・中間潜時反応)、APテスト(小渕、原島試作(2003):両耳分離検査・時間処理検査・圧縮語音検査・騒音負荷検査)、心理テスト(Fisherの聴覚処理検査・WISC-4・DN-CAS・ADHD-RS4・Conners3・SCQ日本語版・PFスタディ・バウムテスト・風景構成法)を基本的に用いることとした。 ②小児APPを訴える対象の臨床像について、検討した。事例が少数のため一般化には至っていないが、事例ごとに聴覚的、心理的特質について詳査し、見立てを保護者や本人にフィードバックのうえ必要と考えられる心理支援を行った。特に知的側面に関しては、ワーキングメモリーや継時処理といった聴覚記憶、聴覚認知能力に弱さがみられる対象、不注意の問題をもつ対象が多いことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究の目的であった①「小児APD評価法の開発」については、自覚的・他覚的聴力の側面、聴覚処理の側面、知的・認知的・心理的側面といった多角的視点からなる評価法について、必要なものを概ね選定できたと考えている。 ②「小児APD、の臨床像の調査」については、事例数が少ないため、まだ一般的、普遍的な検討には至っていないが、事例ごとに見立てを行い、臨床像を把握し、フィードバックの上心理的支援を検討し、事例経験を重ねている段階である。 以上より、研究は順調に推移し、目的は概ね達成されたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究目的通り、以下の点について今後研究を推進する。 ①小児APP評価法を洗練、確定する。②小児APPについて事例を重ね、一般的な特徴を模索する。③小児APPのサブタイプについて検討する。④海外の先進施設を視察し、小児APPの支援法を模索する。⑤学校や家庭と連携した総合的支援を模索する。⑥二次的な心理的問題への対処として、箱庭療法、描画療法などを導入する。⑦小児APP概念について、特別支援教育の中での位置づけを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
聴覚処理テストの作成にあたり、開発費が必要とならなかったため、次年度使用額が生じた。 聴覚処理テスト実行のために、パワーポイントの使用できるパソコンやヘッドホンが検査室に必要となったため、次年度助成金と併せて物品購入に当てる予定である。
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