2013 Fiscal Year Research-status Report
文教族の分析に基づいた政治と教育の関係性に関する実証的研究
Project/Area Number |
25381155
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Niimi College |
Principal Investigator |
武石 典史 新見公立短期大学, その他部局等, 講師 (00613655)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 教育政治 |
Research Abstract |
平成25年度は、教育基本法改正の政治過程の分析をもとに、2000年代おける「市場化・規制緩和派」と「文教族」の対立図式を検討しつつ、文教族の終焉過程を解明した。具体的に記すと、新聞・雑誌を参考にマクロな政局分析を整理しながら、政治情勢と文教族動向の関連性をより深いレベルで考察した。遂行した作業は以下のとおりである。 1.主要紙および自民党機関誌における記事収集と分析 国会や審議会等といった公式な場での議論の外にこそ何かがあるという認識のもと、関連する新聞記事を網羅的に収集し、2000年代における政府と党の関係性を検討した。いわゆる「小泉期」の教育改革は、市場化・規制緩和的なそれは内閣府主導で、教育基本法改正は党(文教族)主導で進められたことを実証的に解明した。後者が党主導にという形になったのは、小泉純一郎総理が「教基法改正」に無関心だったからである。また、世紀転換期における党内の情勢をさぐるべく、自民党機関誌『月刊自由民主』に表れた「文教族」議員の言説を抽出・分析した。 2.『公明新聞』における記事収集と分析 これまでの諸研究では、連立与党の一角である公明党の動きは等閑視されてきた。そこで本研究では『公明新聞』を手がかりに、同党がどのような政治的動きをみせつつつ教育基本法改正に賛成したのかを考察した。同党は教育基本法改正には反対のスタンスであったが、2005年総選挙における自民党圧勝劇をうけて影響力が弱化し、賛成せざるをえない状況に追い込まれてしまったことがあきらかになった。併せて、同党の支持母体である創価学会との調整過程についても検討した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度は文教族議員への聞き取り調査を実施する予定であった。しかしながら、依頼への回答がなかったり、あるいはスケジュール調整がつかず、平成26年度以降に持ち越されるといったことが生じてしまった。作業レベルではその分だけ、当初の計画よりも遅れが出ている。 平成26年度においては再度依頼をかけたり、スケジュール調整をするなどし、インタビュー調査を遂行し、遅れを取り戻す予定である。 なお、「教育基本法改正の政治過程」をテーマにした論文を25年度内に公表する予定だったが、26年度内にずれ込む見込みとなった。これは、当初、和文で作成する予定だったものを英文で発表するのが適切だと考え、英文化に時間を要しているからである。
|
Strategy for Future Research Activity |
まずは平成25年度に行う予定だった聞き取り調査を実施し、当初の計画に追いつくことを力を入れる。 平成26年度は、当初の計画どおり、1960年代から1990年代初頭における教育政策と文教族の関係性の解明を課題とする。具体的な検討課題は、(a)文教族の組織化過程、(b)他の族との関係、(c)社会変動が文教族に与えた影響、である。その方法は以下のとおりである。 第一に、平成25年度と同様、当該時期の諸資料を徹底的に分析する。平成26年度はこれに加え、創成期の文教族の政治家の何人かのご遺族に日記や備忘録等が残されていないかを問い合わせる。 第二に、他の「族」議員からみた文教族の役割・位置づけである。他の族の(元)議員に焦点を当てながら、文教族と他の族との関係性を検討する材料を得る予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
インタビュー調査を行う予定であったが、先方の都合やスケジュール調整がうまくいかず、実施できなかった。これにより、旅費、その他雑費、インタビュー調査をふまえたうえでの調査に要する費用を使用できなかった。 使用額が計画を下回ってしまったのはそのためである。 文教族議員に対するインタビュー調査にともなう諸費用(旅費、その他雑費、インタビュー調査をふまえたうえでの調査に要する費用)として使用する予定である。
|