2014 Fiscal Year Research-status Report
文教族の分析に基づいた政治と教育の関係性に関する実証的研究
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25381155
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Research Institution | Niimi College |
Principal Investigator |
武石 典史 新見公立短期大学, その他部局等, 講師 (00613655)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 教育政治 / 文教族 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、高度経済成長期から1990年代にかけての時期を対象に、文教族がどのように組織され展開していったのかについて、そして徐々に流入してきたグローバリズムに対する文教族の態度を調査・検討した。具体的には新聞・雑誌記事、国会会議録にあらわれた文教族議員の言動を整理したうえで、それらを政策化の動きに位置づけた。研究実績を詳述すると以下のとおりである。 1.膨大な新聞や雑誌を網羅的に調査し、文教族の中心人物である坂田道太に関連する記事等を収集、文教族の動向を分析した。いわゆる「族議員」は高度成長期に形成されたといわれているが、坂田は1940年代後半から日教組と対立関係にあった。 2.教育行政関係者への聞き取り調査をとおして、文教族議員が地元(選挙区)に与えた影響を検討した。 3.文教族議員の遺族に日記等の資料が残されていないかを問い合わせた。「資料はない」あるいは「資料はあるが見せられない」という回答であったにしても、再度問い合わせたり再依頼をかけたりすることで、貴重な資料にアクセスできることがある。したがって、この資料調査は平成27年度も継続する。 4.平成27年度の研究計画の予備調査として、終戦後から1955年保守合同にかけての教育政策担当者、教育政策の形成過程に関する資料を収集した。これらは平成27年度のみならず3年間の研究計画全体に反映させていく。 5.研究成果を広く社会に公表すべく、平成26年度研究成果の一部を市民向け講演で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで収集・整理できた資料は広範囲かつ相当の量にのぼっており、当初の予定とは異なった視点からのアプローチも可能となった。 また、平成27年度に予定していた作業の一部を進めることができた。この作業によって、より掘り下げて検討すべき課題と、実施べき追加的調査がより明確化されつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、「55年体制と文教政策集団の形成に関する検討」を進めつつ、本研究全体の成果をまとめあげる。これまでの各年度の分析結果を単純に並べた報告書にするのではなく、各章の関連論部分との整合性を慎重に推敲しながらまとめあげていく。 資料調査は順調であるが、文教族関係者へのインタビュー調査は計画と照らし合わせるといまだ不十分である。これまでの資料調査で明確になった課題を念頭に置きながら、複数の文教族議員に聞き取り調査を実施する。 また、本研究を最終的にまとめるにあたって、海外の研究機関に滞在し、そこでの議論を本研究の報告書に反映させたいと考えている。
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Causes of Carryover |
平成25年度もしくは26年度に在外研究を行う予定であった。しかし、諸事情により実施できなかった。また、文教族議員へのインタビュー調査もスケジュール調整の関係から完全には遂行できていない。 使用額が計画を下回ってしまったのはそのためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は夏季に在外の研究機関に滞在予定である。また、文教族議員へのインタビュー調査をより充実した形で実施する。 「次年度使用額」は上記の2点にともなう費用として使用する。
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Research Products
(2 results)