2014 Fiscal Year Research-status Report
大学学術的文章作成授業履修者の文章作成力向上と付与されたコメントの関連
Project/Area Number |
25381218
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐渡島 紗織 早稲田大学, 国際教養学術院, 教授 (20350423)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 裕子 早稲田大学, 付置研究所, 准教授 (50434353)
坂本 麻裕子 早稲田大学, 付置研究所, 助教 (40648317)
大野 真澄 早稲田大学, 付置研究所, 助教 (50704657)
ドイル 綾子 早稲田大学, 付置研究所, 助手 (80595835) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 学術的文章作成授業 / 大学生 / 専門科目レポート / 文章評価ルーブリック / 大学の文章作成力 / 文章評価観点 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.学術的文章作成授業、追跡効果調査 【研究目的】学術的文章作成授業での学習が専門科目レポートに活かされているかを、学内他科目において調査した。【研究方法】学術的文章作成授業が必修科目となる前の1年生72人と、同授業が必修科目となった後の1年生72人が、同一の専門科目において書いたレポートの得点を比較した。レポート文章は、「緻密さ」「構成」「内容」の3観点6段階で全体評価を行なった。【研究結果】分析の結果、「緻密さ」と「内容」で有意な差が認められたが、「構成」では差が見られなかった。レポート課題の性質上、構成に工夫の余地がなかったことが原因と思われる。
2.基礎的な学術的文章作成能力を測るルーブリックの開発 【研究目的】大学1・2年生が、専門科目の履修に入る手前で、どのくらい学術的文章作成能力があるかを評価測定する、文章評価ルーブリックを開発する。大学一般で使用することのできる汎用性を目指す。【研究方法】研究代表者らが、5年前に、経験に基づいて作成した文章評価ルーブリックを学内教員17名に試用してもらい、問題点を整理した。その上で、35項目の文章評価項目を抽出し、その35項目で350編のレポート文章を、文章指導員8人が評価した。350編のレポート文章は、様々な分野における、様々な目的、長さの文章である。これらレポート文章に対して付された評価得点を因子分析し、ルーブリックの観点を整理した。【研究結果】因子分析の結果、評価項目を5因子に整理することが妥当であると分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.の、学術的文章作成授業、追跡効果調査は、適切な規模で進められ、授業効果が明らかとなった。授業を履修した者と履修しなかった者とを比較するという方法も、適切であった。調査結果は、今後の授業遂行に貢献するものである。 2.の基礎的な学術的文章作成能力を測るルーブリックの開発は、先行する研究が質的、経験的に行なわれているものであるところ統計的に分析したという方法において新しい。そのため、期待された成果が得られたものであると評価できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.基礎的な学術的文章作成能力を測るルーブリックの開発 因子分析を行なったルーブリックの各因子グループに名前を付し、評価観点を仮確定させる。さらに、実際にこのルーブリックで学内教員に文章を評価してもらい、そこから得た感想等を反映させ、ルーブリックの正確さ、汎用性を高める。
2.文章に付されたコメントと文章作成力向上の関係 25年に行なった調査と同様の目的と方法で、調査規模を広げる。25年に行なった実験調査では、8週に亘る実験の過程でドロップアウトする研究対象者が多く、統計的な処理が難しいサンプル数となった。そこで、より多くの実験参加者を集め実験を行なう。文章評価基準には、26年に新しく開発したルーブリックを用いる。文章作成力の向上は、プレ作文、ポスト作文の比較により25年と同様に測定する。実験参加者の一部にインタビューを行い、文章力向上の実感、受けた指導の感想を聞き取る。
|
Causes of Carryover |
26年3月に行なった文章評価作業において、作業を希望した評価者の人数が当日になって変更されたため、評価作業に支払う謝金に残部が出た。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
文章評価作業に支払う謝金を補填する。
|