2014 Fiscal Year Research-status Report
液滴エピタキシー法による理想的な量子ドットの自己形成
Project/Area Number |
25390011
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
間野 高明 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (60391215)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 量子ドット / もつれ合い / ガリウム砒素 / インジウム燐 / 結晶成長 / 分子線エピタキシー / 量子情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
格子整合系GaAs量子ドット/AlGaAs(111)Aに関しては、量子光源としての制御性をさらに向上させるため、量子ドット内の電荷を制御するチャージチューナブル構造の作製を試みた。GaAs(111)A面は分子線エピタキシー法ではシリコンによるN型ドーピングが困難であることが知られているが、成長時の基板温度及び砒素圧の最適化を行い、再現性良くドーピングできる手法を確立した。量子ドットの近傍にシリコンドープ相を形成した構造を作製し、ショットキー電極からの外部電場により量子ドットの荷電状態を自由に制御できる事を確認した。この成果は、Applid Physcs Lettersに掲載された。 光ファイバー通信波長帯で発光する、InAs/InP(111)A量子ドットに関しては、顕微フォトルミネッセンスによる単一量子ドットの特性評価を行った。GaAs量子ドットと比較すると、多少の対称性の悪化は見られるものの、通信波長帯で微細構造分裂幅がほぼ0の量子ドットが存在することを確認した。また、個々の量子ドットの偏光方向はランダムであり、面内の異方性がない(111)A面の特性が反映されていることが確認された。量子ドット一個一個の半値幅に関しては、サイズの大きな量子ドット(長波長で発光する量子ドット)の方が広い傾向が、この系に於いても観察された。そこで、小さい量子ドットで、長波長の発光(具体的には、1.55ミクロン)を実現する事と目的として、量子ドットの発光波長制御を試みた。具体的には、これまでの研究ではInPと格子整合するInAlAsを障壁層として用いていたが、これをInAlGaAsとして障壁高さを低下させた。その結果、量子ドット発光のピーク波長が長波長側にシフトして、1.55ミクロンで発光する小サイズ量子ドットを実現した。今後は、これらの量子ドットの特性評価も実施する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光ファイバー通信波長帯で発光するInAs量子ドットに関して、個々の量子ドットの物性計測を行い、もつれ合い光子対を発生可能な、極めて微細構造分裂幅の小さい量子ドットが形成されている事を確認できたことは大きな進展といえる。また、長波長の量子ドットの発光半値幅が広い問題に対して、障壁層の高さを変えることにより、量子ドットの発光波長をシフトさせて、小サイズの量子ドットでも1.55ミクロン発光が可能となったことも大きな成果である。 GaAs量子ドットからのもつれ合い光子対の電流注入に関しては、N型ドーピングの条件出しを行い、電荷制御までは実現した。しかし、電流注入発光素子に関しては、InAs系の実験の急速な進展に伴い、時間が足りず、27年度に取り組むこととなった。 そのため全体としては、おおむね順調に進展している、とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
格子歪み系のInAs量子ドットに関しては、歪みによる異方性促進の可能性が示唆されている。そのため、格子不整合度を低下させる新しい手法の検討を行う。具体的には、格子緩和したメタモルフィックバッファーの導入を検討する。 GaAs量子ドットに関しては、P型層を形成して、電流注入による発光を試みる。ただし、計測技術等の問題もあることから、初めは、汎用の(100)基板上に電流注入型量子ドットを形成し、その電流注入発光の顕微分光測定を行う事も検討する。 最終年度は、これらを通して、量子ドット光源の量子情報通信への応用の可能性を探索する。
|
Causes of Carryover |
格子不整合系InAs/InP系量子ドットの作成に関する研究が予想外に早く進展し、特に作製した試料の光学特性評価に多くの時間を費やすこととなった。その結果として当初予定してた電流注入型もつれ合い光子対発生に向けた実験に必要な、数多くの結晶成長や素子プロセスに関する実験予定を繰り下げることになり、その支出が平成27年度にまわった。 以上の理由により、若干の計画変更が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は電流注入によるもつれ合い光子対発生を目的として、多くの結晶成長実験と素子化のためのプロセスを実施するため、GaAs基板購入やプロセス用部素材の購入などに繰越した資金を使用する計画である。また、平成26年度の最後に装置に不具合が生じた。それを修復するための部品購入にも用いる。
|
Research Products
(11 results)
-
-
-
-
-
[Journal Article] Charge tuning in [111] grown GaAs droplet quantum dots2014
Author(s)
L. Bouet, M. Vidal, T. Mano, N. Ha, T. Kuroda, M. V. Durnev, M. M. Glazov, E. L. Evchenko, X. Marie, T. Amand, K. Sakoda, G. Wang, B. Urbaszek
-
Journal Title
Applied Physics Letters
Volume: 105
Pages: 082111-1-4
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
-
-
-
-
[Presentation] Recent development of droplet epitaxy in NIMS: InAs QDs on InP(111)A for telecom-application and reconstruction-dependent Ga droplet formation on GaAs (100)2014
Author(s)
T. Mano, A.Ohtake, T. Kuroda, N. Ha, X. Liu, K. Mitsuishi, A. Hagiwara, J. Nakamura, A. Castellano, S. Sanguinetti, T. Noda, Y. Sakuma, and K. Sakoda
Organizer
2nd Workshop Droplet Epitaxy of Semiconductor Nanostructures
Place of Presentation
フィレンツェ
Year and Date
2014-05-16 – 2014-05-16
Invited
-
-