2014 Fiscal Year Research-status Report
透過電子顕微鏡法による金属有機構造体およびその分子内包複合構造の構造解析
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25390023
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
劉 崢 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノ材料研究部門, 主任研究員 (80333904)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 電子顕微鏡 / 金属有機構造体 / 構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
電子顕微鏡法(TEM)による金属有機構造体(MOF)の構造解析を行うためには、電子線ダメージに対する対処法の確立が必要です。平成25年度では、いくつかのMOF試料を用い、電子線ダメージを低減し、かつ必要な空間分解能を得るための最適なTEM観察条件を明らかにしました。平成26年度では、平成25年度で得られた最適条件を基にして、更に多様なMOFの構造解析、特に新規に合成されたMOF材料の構造を決定することを研究目的としました。これを実施するため、海外在住の研究協力者たちとの連携を進め、MOF材料合成の知見や電子顕微鏡観察技術のノウハウなどの情報交換を行うとともに、研究協力者から提供された計6種類の新規MOF材料の電子顕微鏡観察を行い、その構造を解析しました。その中で特に重要な結果の一つは、ナノ銀粒子(AgNCs)の表面に成長させたMOF材料(4, 4′, 4″, 4''' -(porphyrin-5,10,15,20-tetrayl)- tetrabenzoic acid (H4 TCPP)の構造決定です。無機ナノ材料の表面官能基化は無機材料のさらなる化学特性を与える手段ですが、その実現のためには官能基の空間制御や無機ナノ材料との界面結合状態を理解することが必要です。今回のケースでは、高分解能電子顕微鏡観察によりナノ銀粒子の表面に成長されたMOF材料の厚みが10nm~50nm範囲内にコントロールされていることを、また、成長したMOF材料の結晶方位はナノ銀粒子の結晶方位と相関があることを明らかにしました。この研究成果はすでに論文としてまとめられ、2015年にJACSに掲載されました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究成果のうちのいくつかは論文投稿段階あるいはそれ以上にまとめられており、その一つは、すでに共著論文としてJournal of the American Chemical Society, 137 (2015), 2199-2202. に掲載されました。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度よりさらに新規に合成された多様な有機基と金属錯体の構造から構成されたMOF材料の構造解析を遂行します。特に、未知構造の決定、欠陥等を含む複雑な構造の解析、高分解能像シミュレーションや電子エネルギー損失分光法などを併用して、より詳細な構造・状態を解析する予定です。また、極めて困難な課題であるMOF材料に高分子、金属クラスタなどの種々の分子をMOFの空隙中に内包させた複合構造の作製に挑戦します。
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Causes of Carryover |
平成25年度から繰り越しされた予算を平成26年度の出張旅費と合わせて外国旅費として使用する予定でしたが、外国出張による実験のマシンタイムが予定通り確保できなかったことから、一部の出張が実施出来なくなりました。よって外国出張旅費の一部が未使用となりましたが、これを以下に述べる理由により次年度使用額とさせて頂きたいと思います。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまで使用していた電子顕微鏡が2015年4月に名城大学(愛知県)に移転されることになりました。本研究の遂行にはこの装置の利用が必要であるため、27年度は名城大学への国内出張が当初計画よりも新たに必要となりました。よって、平成26年度からの繰り越し予算金額を、この国内旅費の増加分に充填して使用する予定です。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Mesoscopic Constructs of Ordered and Oriented Metal-Organic Frameworks on Plasmonic Silver Nanocrystals2015
Author(s)
Yingbo Zhao, Nikolay Kornienko, Zheng Liu, Chenhui Zhu, Shunsuke Asahina, Tsung-Rong Kuo, Wei Bao, Chenlu Xie, Alexander Hexemer, Osamu Terasaki, Peidong Yang, Omar M. Yaghi
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Journal Title
Journal of the American Chemical Society
Volume: 137
Pages: 2199-2202
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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