2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25390025
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 地方独立行政法人大阪市立工業研究所 |
Principal Investigator |
山本 真理 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, 有機材料研究部, 研究主任 (20416332)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ナノ結晶 / 形状異方性 / 触媒 / ナノ構造体 / 合金 / ガルバニ置換反応 |
Research Abstract |
これまでにPdナノ粒子の触媒作用により、Ni錯体単独では熱分解されない温和な条件で還元され、PdNi合金ナノ粒子が生成することを見出した。温和な反応条件下では、特定の結晶面に結合する保護層存在下で結晶成長速度の差が顕著になり、異方成長が促進される。そこで、形状異方性ナノ結晶表面には保護層の疎な角や稜線が存在すること、磁性金属と貴金属との還元電位差が大きいことを利用して、形状異方性磁性金属ナノ結晶をテンプレートとして、結晶面選択的なガルバニ置換反応で、窪みや突起、内部に空孔を持つ貴金属-磁性金属ナノ構造体を創製する。 本年度は、コアとなる形状異方性をもつ磁性金属ナノ結晶を合成することを目的とした。具体的には、特定の結晶面を保護し成長を抑制する保護剤存在下、Pdナノ粒子の触媒作用により磁性金属錯体を温和な条件で還元させた。前駆体としてNi錯体のみを用いた場合は、熱還元温度が210℃以上必要であったが、Ni錯体とPd錯体を共存させた場合、160~180℃の温和な反応条件下で還元反応が進行した。異方成長を促進することが期待される配位子として、アルキルアミン、アルキルカルボン酸、トリオクチルホスフィンオキシド、トリアルキルホスフィン等の組み合わせや比率を検討した。その結果、粒子径10 nmで突起をもつポッド状粒子やコアの粒子径が100-300 nmで突起(直径10nm、長さ50-100 nm)をもついがぐり状粒子が生成する反応系を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、コアとなる形状異方性をもつNiナノ結晶を合成することを目的とした。種々、検討の結果、突起をもつポッド状Niナノ粒子やいがぐり状Ni粒子が生成する反応系を見出した。突起をもつことから比表面積が高く、触媒への応用が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
H26年度は、形状異方性ナノ結晶をテンプレートとして、ガルバニ置換反応でPtを析出させることを計画している。テンプレート表面に保護層が疎な部位(角、稜線)と密な部位(平面)を明確に作り分ける。1本鎖の保護剤を選択すると、アルキル鎖間のファンデルワールス力によりテンプレート表面に緻密にパッキングして角が疎となるため、角で優先的にガルバニ置換反応が進行する。還元電位差が大きいPtとNiの組合せを選択することで、速やかに置換反応が進行する。比表面積の大きいNiナノ結晶は、酸化されやすく、酸化被膜を有する。そこで、保護層が疎な部位で選択的に酸化被膜が除去されるよう、適切な酸強度の有機酸を選択する。ガルバニ置換反応によってテンプレートから溶出するNiイオンと錯形成して安定化させる配位子を選択することで、速やかに反応が進行する。以上を検討することにより、窪みや突起、内部に空孔を持つPt-Niナノ構造体を創製する。 上記の方法で合成できない場合は、先に異方成長させたPt-Ni合金ナノ結晶を合成後に、酸化還元電位の低いNiイオンを溶出させ、表面にPtを露出させる方法で、Pt-Niナノ構造体の合成を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
触媒活性評価のための装置を購入する予定であるが、初年度(H25年度)は形状異方性をもつ磁性金属ナノ粒子を合成することを目的としており、その触媒活性評価はH27年度を計画していることから、まだ装置の選定基準が定まっていないため。 H26年度後半に装置選定を行い、H27年度に購入を進める。
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