2014 Fiscal Year Research-status Report
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25390025
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Research Institution | Osaka Municipal Technical Research Institute |
Principal Investigator |
山本 真理 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, 電子材料研究部, 研究主任 (20416332)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ナノ構造体 / 負極活物質 / リチウムイオン電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
形状異方性ナノ結晶表面には保護層の疎な角や稜線が存在すること、および2種類の金属の還元電位差があることを利用して、形状異方性ナノ結晶をテンプレートとして、結晶面選択的なガルバニ置換反応で、窪みや突起、内部に空孔を持つ二元金属ナノ構造体を創製することを目的としている。 本年度は、化学還元法によりポリマーで保護された球状および立方体の形状を有するスズナノ粒子を合成した。そこへ、鉄塩を加えて反応させることによりスズナノ粒子へ鉄が拡散し、鉄-スズ合金ナノ粒子(FeSn2)が得られた。鉄とスズの仕込み比を変化させても、FeSn2が形成されたことから、熱力学的に安定な結晶構造であることが示唆された。透過型電子顕微鏡像より、鉄-スズ合金ナノ粒子(FeSn2)は、立方体やロッド状であり、内部に空孔を有する粒子も含まれていた。スズナノ粒子にニッケル塩を加えて同様に反応させたところ、立方体やロッド状、球状のナノ粒子(10-100 nm)が得られた。粉末X線回折より、スズと種々の金属間化合物(Ni3Sn4, Ni3Sn, Ni3Sn2)を含有しており、仕込み比を変化させても、同様の結果となった。 これらの二元金属ナノ粒子を負極活物質として、液系のリチウムイオン二次電池へ応用するため、スラリー分散のための溶媒やバインダー選定、導電助剤の選定、分散方法の検討、塗工するための固形分濃度の調整を行い、Al箔上に塗膜が形成できることを確認した。また、本負極シートを用いてコインセルを作製し、充放電可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スズナノ粒子へ鉄が拡散することで、内部に空孔をもつFeSn2二元金属ナノ構造体を合成した。同様にニッケルを反応させることで、スズ‐ニッケル合金ナノ粒子が得られたが、様々な組成の金属間化合物が混在する結果となった。 リチウムイオン二次電池の負極活物質として知られるスズ系合金をナノサイズ化し、かつ空隙をもつ構造体は、充放電時の体積膨張・収縮を緩和して微粉化を防止できると期待される。そこで、本ナノ構造体がリチウムイオン二次電池の活物質として機能するかを確認するため、集電体へのナノ構造体の塗膜形成方法の検討、およびコインセル作製方法を検討し、充放電測定を行った。その結果、充放電可能であることを確認できたことから、今後の触媒応用への道筋をつけることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
FeSn2二元金属ナノ構造体のサイズ制御や空孔率の向上を目指す。サイズ制御は、反応温度、反応時間、保護剤となるポリマーの添加量や分子量について検討する。また、空隙率は、鉄塩の滴下速度、滴下時の温度、反応時間について検討する。 得られたFeSn2二元金属ナノ構造体は、リチウムイオン二次電池用の負極活物質として放電容量やサイクル特性、レート特性を評価し、形状、サイズ、空孔率の影響を調べる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額(残金)が少なく、必要物品を購入できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学会出張費と消耗品で使用予定。
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