2014 Fiscal Year Research-status Report
マイクロパターン配向による液晶素子の低駆動電圧化と高速応答化の検討
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25390058
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
本間 道則 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (90325944)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 液晶 / 回折格子 / マイクロラビング |
Outline of Annual Research Achievements |
微細な配向処理パターンを有する液晶セルとバルクの液晶配向場との相互作用を考察することを目的とし,液晶層内の配向分布状態とレーザー光を入射したときの回折光の解析を行うためのシミュレーターの構築を行った。さらに,実際に簡単な配向処理パターンを有する液晶セルを作製し回折光強度の印加電圧依存性を測定した。得られた依存性はコンピュータシミュレーションの結果と比較し考察することによって,実験よりも精密な液晶分子配向状態の解析を行うことができた。本検討を通じて得られた具体的な成果について以下に述べる。 まずホモジニアスおよびツイステッドネマチック(TN)配向領域を交互に配置したマイクロパターン液晶セルを作製し,回折光強度の印加電圧依存性の評価を行った。ここで,液晶としてE170(メルク)を用い,液晶層の厚みを約15μm一定とした。また,格子周期Λを10,20,40および100μmとして,複数のマイクロパターンを同一素子内に形成した。作成した液晶セルの回折特性の評価においてはNe-Neレーザー(633 nm)を用い,主として0次回折光強度により電圧依存性の考察を行った。実験の結果,回折光強度の電圧依存性はΛによって変化し,Λの減少とともに駆動電圧が0.1 V程度低下することが明らかとなった。同様の傾向は液晶分子配向状態のシミュレーション結果からも明らかとなった。さらに,シミュレーション結果より,ホモジニアスおよびTN配向領域の境界付近においてダイレクタが基板面に対してわずかに立ち上がる傾向にあることも確認された。プレチルト角の影響を考察するための別のシミュレーション結果からは,プレチルト角の増加とともにわずかであるが駆動電圧が低下することも確認された。以上より,ホモジニアスおよびTN配向領域の境界付近のダイレクタの立ち上がりによって駆動電圧がわずかに減少した可能性が示唆されたと結論付ける。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
液晶分子配向のシミュレーターの構築作業を行い,液晶回折格子のような二次元的な液晶分子配向状態を解析することは可能になった。しかし,当初の計画では,基板表面の配向処理パターンとして二次元的なパターンを想定していた。そのためには,液晶層全体の三次元的な配向状態の解析が可能なシミュレーターの構築を目指していたが,平成26年度においては完成に至らなかった。 そこで,二次元ではなく,回折格子のような一次元的に変化する配向処理パターンを導入した液晶セルについて,その光学特性の印加電圧依存性の実験とシミュレーションの両側面からの考察を行った。その結果,異なる配向領域における液晶のチルト角の増加が,回折特性の印加電圧依存性に対して重要な役割を果たすという可能性を見出すことができた。以上のように,基板表面における微細な配向処理パターン特有のバルクの液晶分子配向状態に与える影響について,新たな知見を得るに至ったことは一定の評価を与えるに値すると考えている。以上の成果を総合的に踏まえ,現在までの達成度としては概ね順調に進んでいると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
液晶層全体の三次元的なコンピュータシミュレーションの実現に向けて,シミュレーションシステムのグレードアップ作業を引き続き行っていく。研究は概ね順調に進んでいると考えており,当初の実施計画にあるようにマイクロパターンの導入による液晶セルの高速応答化と双安定性発現という更なる高性能化に向けた検討を進めて行く。 具体的な内容は次の通りである。 (1)液晶デバイスの応答特性の改善 微細な配向処理パターンを導入した液晶セルを作製し,印加電圧の変化に対する回折光強度の動的な応答特性を測定する。マイクロラビングパターンの種類,パターンのスケール,液晶層の厚みなどの因子が,応答特性(応答時間および回復時間)に与える影響について詳細に検討する。 (2)双安定液晶デバイスの検討 周期的な半円状のマイクロラビングパターンを導入した液晶セルについて,液晶の配向の双安定性についての考察を行う。まず,電圧無印加時における準安定な状態から安定な状態に遷移するまでの維持時間について,偏光顕微鏡観察により評価を行う。測定した維持時間と,マイクロラビングの種類や周期,液晶層の厚みなどが与える影響についてまとめ,可能な限り維持時間が長くなるための素子構造の条件について考察する。また,電圧を印加した場合における安定状態から準安定状態へのスイッチング挙動についても,偏光顕微鏡による観察を基に考察する。具体的には,準安定状態へ遷移するために必要な印加電圧を明らかにする。
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Research Products
(4 results)