2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25390098
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
宮崎 大介 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60264800)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 三次元ディスプレイ / 立体表示 / 画像処理 / 空中像 / 全周囲観察 / インテグラルイメージング / 裸眼立体視 / ビジュアルインターフェイス |
Research Abstract |
直感的な3次元情報の把握が可能なビジュアルインターフェイスの実現において、立体表示技術は重要である。本研究は、自然な立体感とアクセス性、インタラクティブ性を備えた3次元ディスプレイを実現するために、眼鏡等の装着物が不要で、水平・垂直方向ともに視差を持ち、周囲から多人数で観察可能で、空中に像を形成し、動画表示可能、といった条件を満たす画像形成技術の開発を目的としている。そのために、インテグラルイメージングに基づく3次元像に対して凹面鏡と回転ミラーを導入した手法を提案し、試作システムにより原理の実証を行った。 試作した3次元ディスプレイは、インテグラルイメージング光学系、リレー光学系、全周囲走査光学系により構成される。インテグラルイメージング光学系は、2次元画像にレンズアレイを適用して垂直水平方向共に視差を持った立体画像を形成する。得られた3次元像は、リレー光学系により全周囲走査光学系に導かれる。全周囲走査光学系は凹面鏡と回転ミラーにより構成されており、スクリーン等の存在しない空中に、周囲からの観察が可能な実像を形成する。スキャナの角度に合わせて投影画像を高速に切り替える必要があるので、5000 fpsの高フレームレートプロジェクタを用いた。全周囲走査光学系のミラーの回転周波数を20 Hzとし、1回転の間に250枚の画像を切り替えて投影するようにプロジェクタを制御し、空中像を形成した。得られた画像は、水平方向に関しては全周囲からの観察が可能であった。垂直方向に対しても視差に基づく画像の変化が得られた。実験結果より、空中に浮遊する全周囲観察可能な立体映像を形成できることが確認できた。光学系の収差や凹面鏡の形状の歪みなどの影響により、像の歪みや不要な多重像が生じた。今後の課題として。実際の光学系の特性を計測して画像を補正することや、歪みの少ない結像原理の利用が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
あらかじめ想定していた研究計画におおむね従って実施できている。ただし、研究計画では、毎秒32,000フレームの高フレームレートプロジェクタを導入する予定であったが、想定していた機種が購入に至る前に販売中止となり入手不可能となった。そこで、以前より保有していた毎秒5000フレームのプロジェクタを利用して実験システムを構築した。 3次元像の形成実験を行った結果、凹面鏡の歪みや収差による像の劣化は予想以上に発生することが分かった。研究計画通りに、実際の光学系における光線の情報を計測して画像の補正を行う手法に関して検討したが、それと同時に凹面鏡とは異なる新たな結像素子を導入して像の歪みを抑える検討を行った。その一つとして、マイクロミラーアレイ結像素子を用いた歪みのない実像形成の利用を考えた。実際に、2面コーナーリフレクタアレイと呼ばれるマイクロミラーアレイ結像素子の一種を用いて、空中結像と走査による3次元像の形成に関して予備実験を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度の研究により、提案手法による3次元像形成の原理の妥当性は確認できたが、予想よりも画質が低くなる結果となった。画質の悪化の原因として、凹面鏡の形状の歪みやその他の光学素子の収差といった光学系の特性による要因と、プロジェクタの動作周波数による要因があった。今後の研究として、研究計画の通りに、実際に作製した光学系における光線の状態を計測し、それに基づいて表示画像を合成することにより歪みの補正を行う。まばらな点群で構成される画像をプロジェクタから投影し、像が形成される位置にスクリーンを配置して点像の位置を計測する。スクリーンの位置を移動させてその時の点像の位置を計測し、それらの結果から像を形成する光線の角度の測定を行う。それらの光線情報とプロジェクタにおける画素配置との対応関係を求め、それに基づいてインテグラルイメージングにおける要素画像を合成する。 本研究における提案手法は、光学的走査と画素値の時分割多重化により画像を形成するので、プロジェクタの動作周波数は画像の解像度を決定する。25年度では5000 フレーム毎秒のプロジェクタを利用したが、さらに表示周波数の高いプロジェクタを導入して解像度の向上を図る。 研究計画では、結像素子として凹面鏡の利用を想定していたが、実験により収差や形状の歪みが大きいことが明らかになったため、歪みの少ない他の結像素子の利用も同時に検討し、実験により評価を行う。そのような新たな結像素子として、数百マイクロメータレベルの微小なミラーで構成されたマイクロミラーアレイ結像素子を利用する。特に、2面コーナーレフレクタアレイと呼ばれるマイクロミラーアレイ結像素子を研究対象とする。実際に3次元像の表示システムを構築し、性能評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額のほとんどは、プロジェクタの購入を想定していた分に相当する。研究計画では、毎秒32,000フレームの高フレームレートプロジェクタを購入する予定であったが、想定していた機器が購入前に販売中止となり入手できなくなった。 25年度は、以前より保有していた毎秒5000フレームのプロジェクタを利用して実験システムを構築した。プロジェクタのフレームレートは表示画像の解像度に影響するので、別機種の高フレームレートプロジェクタを入手するか、あるいは複数の低フレームレートのプロジェクタを導入することを検討している。また、凹面鏡とは異なるミラーアレイ結像素子の入手も行う予定である。
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Research Products
(5 results)