2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25390098
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
宮崎 大介 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (60264800)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 3次元ディスプレイ / 立体表示 / 画像処理 / 空中像 / 全周囲観察 / インテグラルイメージング / 裸眼立体視 / ビジュアルインターフェイス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、眼鏡などの装着なしで立体感を得ることができ、全周囲からの観察が可能な空中浮遊像を形成するディスプレイシステムの開発を目的としている。試作した3次元ディスプレイは、インテグラルイメージング光学系、リレー光学系、全周囲走査光学系により構成される。実験結果より、表示像の歪みが大きいことがわかった。そこで、提案する光学系の光線追跡を行って像形成のコンピュータシミュレーションを行った。走査光学系では大口径の凹面鏡を使用して光は斜入射していることから、非点収差が大きく発生していた。さらに、実際の光学系における光線の位置と方向の情報を取得するために光線計測システムを構成した。計測システムは、像の形成位置付近に置かれた拡散板とカメラにより構成される。ある程度の距離を離して配置された点群によるパターンを入力画像として光学系に入射し、光線が拡散板上に投影された像をカメラで撮影した。拡散板の位置を変えながら同様の撮影を繰り返し行い、光線の到達位置の3次元座標を取得した。これらより、入力画像の各画素の位置と、像形成領域での光線の位置や角度との関係を求めた。計測した光線の情報を利用して視差画像を計算し、表示画像を求めて立体像の形成を行った結果、像の歪みが改善できることを確認した。しかし、理想的な像に比べると歪みは残っていた。この原因として非点収差のために光線の到達位置の測定が不正確であったことが考えられる。凹面鏡の形状誤差も画質に対する影響が大きいことが分かった。さらに、凹面鏡による収差の発生を避けるために、ミラーアレイ結像素子の利用を検討した。この結像素子は、コーナーリフレクタが多数配列された構造をしており、歪みなく実像を形成することができる。全周から観察可能な構成を考案し、実験を行った。原理を確認することができたが、ミラーアレイ結像素子で発生する迷光による不用な像の形成が問題となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度末に設定した今後の推進方策では、以下の項目を挙げていた。(1)実際の光学系において形成される光線の位置と角度を計測して表示像を補正する。(2)フレームレートの高いプロジェクタを使って表示画像の解像度を向上させる。(3)歪みの少ないミラーアレイ結像素子の利用を検討する。 (1)については今年度実施し、計測システムを構築してその効果を確認することができた。計画通り進捗しているが、まだ計測精度が不十分であるため、次年度以降に改善法を検討し実施する必要がある。(2)については、今年度は未着手であった。次年度で実施する予定である。(3)については、2面コーナーレフレクタアレイとルーフミラーアレイの2種類の基本的な原理確認を行うことができた。さらに像形成の実験を行い、課題解決の考察を行い、適用への検討を続ける必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究に引き続き、眼鏡などの装着なしに立体感が得られる立体画像が、全周囲から観察可能で空中に浮遊した状態で形成できるディスプレイシステムの試作を行う。これまでの試作で用いた凹面鏡の精度が3次元像の歪みに大きな影響を与えていることが分かったので、精度を高めた凹面鏡を新たに導入する。その際、光線追跡シミュレーションを行い、像の歪みや観察可能範囲を最適化できる光学系の配置を検討する。像形成領域での光線位置と角度を計測するシステムは今年度と同様のものを利用する。今年度研究で明らかになったように、光学系に存在する大きな非点収差のために、光線位置の特定が不正確となったので、次年度は光学系の球欠平面成分と子午平面成分に分けて光の集光位置を計測することで、より精度の高い光線情報を取得する。高速フレームレートプロジェクタの導入による画像分解能の向上について引き続き検討する。利用デバイスの選定を含めてシステムの設計を行う。歪みの少ない結像素子として、数百マイクロメータレベルの微小なミラーで構成されたマイクロミラーアレイ結像素子を利用する。特に2面コーナーレフレクタアレイと呼ばれるマイクロミラーアレイ結像素子を研究対象とし、全周囲観察可能な3次元像の形成を行い、凹面鏡に基づく光学系との性能比較を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額のほとんどは、プロジェクタ購入の分である。研究計画では、毎秒32,000フレームの高フレームレートプロジェクタを購入する予定であったが、想定していた機器が販売中止となり入手できなくなった。これまでは、以前より保有していた毎秒5000フレームのプロジェクタを利用して実験システムを構築した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
プロジェクタのフレームレートは表示画像の解像度に影響するので、別の高フレームレートプロジェクタを入手するか、あるいは複数のプロジェクタを導入することを検討している。
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Research Products
(6 results)