2013 Fiscal Year Research-status Report
多変数 sigma 函数を中心にした堅牢な Abel 函数論の構築
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25400010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
大西 良博 山梨大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (60250643)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Abel 函数 / sigma 函数 / 代数的加法公式 / Jacobi 多様体 |
Research Abstract |
1. J.C. Eilbeck 氏と M. England 氏との共同研究により, 前年度に得た楕円函数の加法公式の拡張した公式を, 論文にして投稿中であつたが, 受理されなかつた為, 修正して別の学術誌に再投稿した. これまで私と私の共同研究者が与へた (Hermite-)Frobenius-Stickelberger 型の公式は, 対応する代数曲線の自己同型に基くものであつたが, この論文は, さうでないより大きな対称性を持つことを示してをり, 重要であると考へる. この論文は, (Hermite-)Frobenius-Stickelberger 型の公式を究極的に一般化するための先駆けとなるものである. 2. 無限遠点が唯 1 点のみである一般の平面代数曲線に付随する多変数 sigma 函数の展開が, Hurwitz 整と呼ばれる数論的に良い性質を持つことを証明した. 但し, 少しだけそれを悪くする場合があり, その場合を完全な形に明示した. 論文は鋭意執筆中である. 3. J.C. Eilbeck 氏に補助的な計算を依頼しつつ, 種数 2 の代数曲線の Jacobi 多様体で, その準同型環が 4 次の非 Galois 拡大体の整数環に同型になるものの例を計算した. 志村・谷山著「近代的整数論」(共立出版) やその類書に述べられてゐる虚数乗法論を理解しやすくするには, この様な例は有用であると思ふ.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
補助金の使用状況は当初の予定を下回つてゐるが, ある程度の成果が出てゐる. これらの成果をまとめあげてゐないが, それは時間の問題で, 当初の予定の水準にまもなく戻れる見込であるから.
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Strategy for Future Research Activity |
Hurwitz 整性についての成果を論文にまとめて投稿する. 非 Galois 体の整数環に虚数乗法を持つ Jacobi 多様体の例を記述し, 公開する. 各地の研究集会に出席して新しい発想を練る. 今まで共同研究してきた海外研究者との交流を図る.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初は, 共同研究者の在住する Scotland に出張して, 研究の発端を得る予定であつたが, 現状では, その発端を得るにはまだ時期尚早であると判断したため, これを留まつたので, その出張旅費分が次年度に持ち越しになつた. 職場が名城大学に移つたため, 時間さへ空けば, 多くの seminars への出席が可能になつた. 研究会に出席するなどして, 早急に研究の端緒を把むべく努力する. その上で, 先方へ出張するか, さもなくば, 先方を招聘する.
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Research Products
(4 results)