2014 Fiscal Year Research-status Report
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25400032
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
金光 滋 近畿大学, 工学部, 教授 (60117091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚田 春雄 近畿大学, 工学部, 教授 (00257990)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ゼータ関数 / 関数等式 / モジュラーリレイション / 特殊関数 / イーワルド展開 / H-関数 / オイラー積 / 零点分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度は特筆すべき年となった.12月22日に足かけ40年かかった「ゼータ関数大全Ⅰ─モジュラーレレイションシュープリマシー」が遂に出版された.これにより,オイラー積を仮定しない場合のゼータ関数の関数等式に同値な等式の同定が可能になったと考える.時間の制約と見切りの精神から,最も基本的な場合を述べたが,それでも300ページを超えるものとなった.ゼータ関数はおよそ近さの概念のある分野ならどこにでも現れ,近さを具現する基本的な対象であり,科学・工学のあらゆる分野の基盤をなすと考えられる.結晶格子に付随するエプシュタインンゼータ関数,不完全ガンマ関数によるイーワルド展開,制御理論における誤差評価など多岐に渡る. モジュラーリレイションの完成に力を得て,2014年度末から論文の方に集中できるようになり,2月のインド滞在中に,保型関数の極限形として,リーマンの微分不可能関数と平方剰余の相互法則を同時に扱える方法を考案した.その後,カスプ形式のランキン-セルバーグ関数に対するモジュラーリレイションを確立した.この場合,臨界領域に無限個の極を含むが,それを零点の分布によって扱い,実部が負の領域にまで積分路を移すことができ,関数等式が使えることがポイントである.本研究の目的であるオイラー積を持つゼータ関数の重要な具体例であり,無限個の極を含むモジュラーリレイションの最初の一歩である. モジュラーリレイションの特殊形としてコタンジェントゼータがこれまで研究されてきた.最近ラリン氏等によるセカントゼータの研究が現れ,その変換公式の研究をある程度推進した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ゼータ関数論大全の完成が最大の理由です,これにより,執筆に充てていた時間が研究・論文執筆に割けることになり,大幅に加速しました.
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Strategy for Future Research Activity |
オイラー積をもつゼータ関数に関しては,現在セルバーグクラスとよばれるゼータ関数の類が精力的に研究されております.モジュラーリレイションの観点から,この研究を同定し,とくに無限この零点をもつ場合のモジュラーリレイションの確立を目指します. さらに,モジュラーリレイションの極限形として,上半平面における関係式がどの程度実軸上の極限形として顕現されるかの研究を行います. さらに,本年9月にインドで行われる国際会議の基調講演を準備し,特殊関数研究者との交流から新たな発想をもって,モジュラーリレイションの系─ハンブルガーの定理,近似関数等式,明示公式など─を研究する予定です.
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Research Products
(4 results)