2014 Fiscal Year Research-status Report
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25400061
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
秦泉寺 雅夫 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20322795)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ミラー対称性 / 射影空間の超曲面 / グロモフ-ウィッテン不変量 / 留数積分表示 / 対角アノマリー |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、複素射影空間内の超曲面の種数0のグロモフ-ウィッテン不変量の固定点定理を用いた表式を留数積分表示する際に生じる対角アノマリーの一般的な導出を目標とする 研究を集中的に行った。これを決定することが出来れば、私がこれまでに提示してきた射影空間内の超曲面に関するミラー予想を系統的に証明する事が出来るので、研究課題の目標の達成の極めて重要なステップになる。しかし、この問題は極めて困難である事が分かってきて、現在までのところまだ一般的な解答を得るに至っていない。これまでの所、有理曲線の次数が6までの場合に、対角アノマリーを系統的に与えるアルゴリズムを発見し、6次までのミラー予想を証明する目処がついたのであるが、7次以上の場合には、更に考察を加える必要がある事もわかってきた。なお、ミラー予想の証明に向けて、対角アノマリーが、決定されたと仮定した場合に、残りの部分に必要となる議論はほぼ完成させることができた。これらの結果について、Tsinghua Sanya International Mathematics Forum(中国)において行われた研究会「Mathematics Inspired by String Theory」において講演を行った。今年度は、他に重要な成果として、サイエンス社から別冊数理科学(SGCライブラリ)のシリーズの1冊として、「数物系のためのミラー対称性入門」という書籍を出版した事が挙げられる。これは、当研究課題の中心的対象であるミラー対称性についての基礎知識から現在までの研究成果を主に数物系の大学院生を対象に紹介するために執筆したものである。この書籍の出版により、より多くの人々に当研究課題も含めたミラー対称性の研究に関心を寄せてもらえると期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上で述べたように、ミラー対称性に関する書籍の執筆に時間を取られたこともあって、対角アノマリーの構造の決定の研究に集中する時期が見込みより遅くなってしまった。また、この問題が当初の見込みより困難である事が分かり、まだ一般的な解答を得るに至っていない事も理由に挙げられる。。
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Strategy for Future Research Activity |
対角アノマリーの一般的な構造を決定する問題を解決するために、集中的に計算を行いデータを蓄積する事に努める。
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Causes of Carryover |
著書の執筆で研究に割く時間が余りなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
数式処理ソフト、数理物理関連書籍、ホワイトボード購入等の研究環境の整備に充てる。
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Research Products
(4 results)