2014 Fiscal Year Research-status Report
簡約リー群の特異冪零軌道の量子化とユニタリ表現の実現
Project/Area Number |
25400103
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山下 博 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30192793)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | リー群のユニタリ表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,簡約リー群に対する随伴軌道の幾何学的量子化の枠組みにおいて,特異冪零軌道に広い意味で対応する既約ユニタリ表現を特定し,これらのユニタリ表現の良い実現を与えることを主な研究目的とする.これによって,簡約リー群のユニタリ表現と等質空間上の非可換調和解析学の研究の発展に寄与することを目指している.
平成26年度においては,研究実施計画に基づき,簡約対称対(G, K)に対する特異冪零軌道上のK-等質ベクトル束が定める誘導表現の構造を精査するため,簡約リー群の複素化リー代数の任意の放物型部分環を対象として,冪零根基の斉次的冪零元のレビ部分代数における固定化代数が自然に定めるトレース型固定指標の記述法について,研究を実施した.当該放物型部分環及び冪零元が定める2種類の次数付けの間の関係を調べ,冪零元が特異的であるとき,固定化代数の自明でない中心元を構成するとともに,トレース型指標の当該中心元における値を特定した.この手法を用いて,例外型リー代数の特異冪零軌道について,幾何学的量子化を定める「許容データ」を具体的に確認した.これらは,今後,本研究を進める上で礎となる情報・知見であると考えている.
上記の研究を実施するにあたり,研究代表者は研究集会「表現論と調和解析の新たな進展」,「代数学シンポジウム」及び「2014年度表現論シンポジウム」等に参加し,球的冪零軌道と幾何学的量子化,等方表現と分岐則等について,研究打合せを行った.また,コンピュータ周辺機器・ソフト等の物品を購入し,研究を実施するための情報環境を整えた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度(第2年度)においては,幾何学的量子化を定める許容データに関して系統的な研究を実施し,今後の研究の基盤となる知見・情報が得られたことから,本課題研究は当初の計画どおり,おおむね順調に進展していると判断した.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,特異ユニタリ表現の幾何学的不変量や誘導表現への埋込みを併せて検討し,特異冪零軌道に対応したユニタリ表現のさまざまな実現についての研究を統合的に推進する.また,最終年度にあたり,研究成果のとりまとめと発表を行う.
|
Causes of Carryover |
研究打合せ旅費にかかる出張等の日程が当初の予定より短くなったこと,及び,コンピュータ・図書等の物品購入を一部次年度に先送りしたことによる.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は当初の計画どおり旅費及び物品費として使用する.
|