2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25400157
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
柘植 直樹 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (30449897)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 圧縮性オイラー方程式 / ノズル流 / 圧縮性ナビエ・ストークス方程式 / 非線形音響学 / Kuznetsov方程式 / 衝撃波 / 時間大域解 / 漸近安定性 |
Research Abstract |
当該年度は、(1) 摩擦のあるノズル流の時間大域解の存在と、(2) 非線形音響学に現れるKuznetsov方程式の漸近安定性についての研究を行った。 (1) 非粘性気体の運動を表す圧縮性オイラー方程式に対して、摩擦項のあるノズル流を考えた。ここで、摩擦項は、運動エネルギーに比例するものを扱った。この場合、音速になる場所が、摩擦のない場合と比べ下流へ移動するという物理現象が知られている。本研究では特に、断面が広がっていくノズルに対して、時間大域解の存在を示した。 最終的な目標は、ラバル管と呼ばれる、狭まり広がりの形をしたノズルに対して、時間大域解の存在を示すことである。しかしながら、狭まりの部分の解の存在を証明するには、まだ至っていない。次年度以降の課題としたい。 (2) 粘性気体の運動を表す、圧縮性ナビエ・ストークス方程式の平衡状態から、2次までの摂動のみを保持して得られるKuznetsov方程式を扱った。即ち、Kuznetsov方程式は、圧縮性ナビエ・ストークス方程式の2次近似である。この方程式は、1次近似である線形波動方程式に比べ、より大きな振幅を扱うときに用いられる。この方程式の特徴として、その粘性項による消散効果が挙げられる。まず、この現象を調べるために、定数状態に小さな摂動を加えても、時間が経つと定数状態へ漸近する事を示した。 次年度以降は、非線形性特有の現象である衝撃波を考えて、その漸近安定性を示したい。ここで、衝撃波とは密度や速度が不連続に変化する波の事である。さらに、その知見を踏まえて、元の圧縮性ナビエ・ストークス方程式に対して、衝撃波の研究を行いたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた摩擦項のないオイラー方程式のノズル流に対する時間大域解の存在については、当該年度中に論文が受理され出版されいる。そのため、当該年度では、本来3年目に行うはずの研究内容を行った。そのため、当初の計画よりは進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、粘性気体の研究を主に行いたい。特に、その衝撃波の漸近安定性の研究に興味を持っている。しかしながら、圧縮性ナビエ・ストークス方程式の研究を、いきなり行うのは難しいと思われる。そのため、まずその2次近似であるKuznetsov方程式の構造を解明する事に従事したい。 また、この研究が行き詰った場合も考慮して、当初の2年目の研究に掲げた、反応拡散系に対する不変領域に関する研究も同時に進めたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していた旅費が、先方負担になったため。 パソコンの備品を購入する予定です。
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