2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25400196
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
緒方 秀教 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (50242037)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 数値積分 / 超函数 / 複素関数論 |
Outline of Annual Research Achievements |
当年度は1変数実解析関数の積分に対する新しい数値積分法~下記により「超函数法」と呼ぶ~について理論・実験両面から研究を行った。 超函数法は当初、平山弘(神奈川工科大学)により考案された。この方法では複素関数論のCauchyの積分公式を用いて求めたい積分を複素周回積分に書き直した上で、それを台形公式で近似計算する。台形公式は周期解析関数の積分計算には極めて有効であるので、超函数法は極めて高精度な数値積分公式である。実際、超函数法は、理論誤差解析により積分近似値が真値に指数関数的収束し、数値実験により、端点に強い特異点を保つ場合に極めて有効であることがわかった。端点特異性を持つ積分に有効な数値積分公式として「DE公式」が知られているが、そのDE公式でさえ計算出来ないような特異性の強い積分でさえも、本研究の数値積分法では問題なく計算できるのである。 そして、「超函数法」は佐藤超函数論と密接に関係していることがわかった。佐藤超函数論とは複素関数論に基づく一般化関数論であり、極・不連続・デルタ関数といった特異性を含む「超函数」を、「定義関数」と呼ばれる複素解析関数の境界値の差で表現するものである。そして、その超函数の積分は定義関数の複素積分で定義される。本研究の数値積分法では求める積分を複素周回積分に変換しているが、その複素周回積分は実は被積分関数を超函数とみなした際、その積分を定義する複素積分に一致するのである。つまり、本研究の数値積分法は、求める積分を超函数積分とみなしてそれを近似計算していると言える。 なお、当初の当年度は、偏微分方程式の数値解法である代用電荷法の研究を計画していた。当初の計画に対する直接的な結果は得られなかったが、代用電荷法、超函数法はともに解析関数に対する近似という側面を持っているので、両者が何らかの意味で関係しあうことが将来の研究でわかる可能性はある。
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Research Products
(7 results)