2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25400262
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
小田 一郎 琉球大学, 理学部, 教授 (40265517)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瓜生 康史 琉球大学, 理学部, 教授 (40457693)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ブラックホール / ホーキング輻射 |
Outline of Annual Research Achievements |
130GeVのガンマ線シグナルは実験的な間違いであることが判明したので、研究課題にはあまり関係がありませんが、平成27年度は具体的に次の3つの研究を行いました。まず、ブラックホールの蒸発について調べました。古典論の範囲では、ブラックホールは周囲の物質を吸収するだけですが、量子効果を含めると輻射を出してだんだん小さくなり、最終的には蒸発することが、約半世紀前にホーキングによって示されました。ただ彼の証明では半古典的な近似が使われており、完全に量子論的な証明はまだ提出されていません。私は重力場も量子化することによって、完全に量子論的な証明を与え、実際、ホーキングが予想した公式によって、ブラックホールの蒸発が起こることを示しました。もちろん、量子論の方程式を解析的に解くことは難しいので、何らかの近似が必要になります。私は事象の地平線近傍において、量子論の方程式を近似すれば、解析的な解を見つけることが可能で、かつホーキングが予想した公式を導くことが可能であることを証明しました。 次に、上で得られた理論を、電荷をもったブラックホールに拡張しました。この場合も、ホーキングが予想した公式が得られることを示しました。このことに加えて、ブラックホールの蒸発に従って、ブラックホールの電荷も減少していくことを量子論的な枠組みを用いて、初めて証明しました。 さらに、2012年のLHCでのヒッグス粒子の発見に触発されて、ヒッグス量子とディラトン粒子がコンフォーマル不変な形で重力場に結合した理論を構築しました。この理論には、局所的なコンフォーマル対称性が存在しますが、この対称性を特別なゲージ条件を用いると、素粒子の標準模型とアインシュタインの一般相対性理論が同時に出現することを示しました。この理論には、ディラトン粒子が存在しますが、これが暗黒物質を構成する素粒子ではないのかという予想も提出しています。
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Research Products
(3 results)