2015 Fiscal Year Research-status Report
宇宙論的観測によるニュートリノ総質量の決定及び質量階層性問題の解決
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25400264
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Research Institution | Tsuru University |
Principal Investigator |
平野 耕一 都留文科大学, 文学部, 准教授 (00558140)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 宇宙論 / ニュートリノ / 宇宙背景放射 / 物質密度揺らぎ / 素粒子論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,進行中あるいは将来の宇宙論的観測によりニュートリノの総質量がどの程度制限されるかを見積もることにより,近い将来のニュートリノの質量の決定に寄与することである. 現在の素粒子標準模型では,ニュートリノの質量は0と仮定されているが,ニュートリノ振動実験より,ニュートリノは有限の質量を持つことが報告されている.また,最近の地上実験や宇宙論的観測等から,ニュートリノが質量を持つことを支持する結果が蓄積されつつある.ニュートリノが質量を持つということは,素粒子標準模型の限界への示唆であり,ニュートリノの質量を決定することは,素粒子標準模型を超える物理に迫る手がかりとなり得るため,極めて重要である. ニュートリノの総質量決定の手段として近年注目されている宇宙論的観測は,有質量ニュートリノがあった場合の重力による影響を直接受けるため,宇宙に有質量ニュートリノが存在すると仮定した場合の理論予測と比較をすることにより,ニュートリノの総質量への厳しい制限を与えることができる.宇宙論的観測は現在,ニュートリノの質量固有値の総和の絶対値を最も厳しく制限する手段となっている. Planck 衛星による宇宙背景放射のBモードと,将来の広視野銀河サーベイである Euclid の物質密度揺らぎの成長率の模擬データの組み合わせから得られる,ニュートリノの総質量の制限の精度を求めた平成26年度の結果を踏まえ,平成27年度は,質量階層性問題の解決を目指し,3種類のニュートリノのそれぞれの質量も考慮に入れた計算を行った. また別のテーマであるがこれに関連して,Euclid の物質密度揺らぎの成長率の模擬データを用いて,修正重力理論の検証を行い,修正重力理論とΛCDMモデルとの判別がどの程度可能かを調べた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
宇宙背景放射のBモードと物質密度揺らぎの成長率の組み合わせから得られるニュートリノ総質量の制限の精度を求めた後,質量階層性問題の解決を目指し,3種類のニュートリノのそれぞれの質量も考慮に入れた計算を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
ニュートリノの質量階層性問題の解決のための効果的な方法を開発する.
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Causes of Carryover |
平成26年度に使用額がなかったことと,平成27年度末に学会出張等に用いた分が平成28年度経費より清算されることになったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は,残りの経費を学会旅費や論文投稿費等に用いる.
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