2014 Fiscal Year Research-status Report
オープン・ループ制御による高忠実度量子ゲートの設計と実装
Project/Area Number |
25400422
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
近藤 康 近畿大学, 理工学部, 教授 (40330229)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 幹夫 近畿大学, 理工学部, 教授 (90189019)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 頑強な量子ゲート / 量子ゼノン効果 / 量子誤り訂正 / NMR測定への応用 / 位相緩和の抑制 / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、「量子誤り訂正」、「ロバストな任意量子ゲート」、「量子ゼノン効果」、「複合パルスのNMR測定への応用」、「緩和を研究するためのNMRモデル」の研究を行った。 「量子誤り訂正」の研究では、CNOTを一つだけ用い、しかも古典的な誤り訂正との対応が良いノイズレス・サブシステム(NS)の実装をNMRで行い、その結果を2015年3月の日本物理学会で発表した。非常に簡単なアルゴリズムなので、量子誤り訂正の概念を理解する上で良い例になっている。 「ロバストな任意量子ゲート」の研究は昨年度からの継続で、ドイツのドルトムント大学と日本の学習院大学との共同研究である。成果を論文にまとめることができ、Physical Review Aから12月に出版された。同じく共同研究である「量子ゼノン効果」に関する研究は、論文にまとめられ投稿してある。今年度はイギリスのOxford大学のJones教授の研究室に約1ヶ月間滞在し、量子ゼノン効果に関する研究を発展させた。 「複合パルスのNMR測定への応用」は分子科学研究所と学習院大学との共同研究である。我々が研究してきた複合量子ゲートを2次元NMR測定のCOSYに応用し、その有用性を示す実験結果を得ることができた。現在投稿準備中である。 「緩和を研究するためのNMRモデル」は、人工的に位相緩和を制御し、またその緩和を抑制することができる系を実現した研究である。NMR量子コンピュータを様々な量子コンピュータのテストベンチとして用いて、位相緩和を抑制するアイデアの検証を行うことができるようになった。2015年3月の日本物理学会で発表した。論文投稿の準備中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に雑誌に掲載された論文が3編(Construction of Arbitrary Robust One-Qubit Operations Using Planar Geometry, Phys. Rev. A 90 (2014) 052330, Efficient entanglement operator for a multi-qubit system, Phys. Scr. 89 (2014) 085102-1~6, Two-Qubit Gate Operation on Selected Nearest-Neighbor Neutral Atom Qubits, J. of the Phys. Soc. of Japan 83 (2014) 044005-1~7)あり、現在「量子ゼノン効果」の論文が投稿中、「複合パルスのNMRへの応用」は投稿準備の最終段階にある。 その他、学会発表を行った「量子誤り訂正」と「緩和を研究するためのNMRモデル」についても実験は成功している。特に後者の研究は、H25年度の報告書の「今後の研究の推進方策」において計画した研究であり、研究がおおむね順調に進展していることを示している。そして、NMRを用いて様々な位相緩和抑制のアイデアを検証する上で有用であると考えている。 H25年度のドイツのSuter教授の研究室に引き続き、夏にはイギリスのOxford大学のJones教授の研究室に約1ヶ月滞在し、「量子ゼノン効果」の研究を発展させることができた。また、NTTのBRLの松崎博士、分子科学研究所の鹿野准教授、学習院大学の市川博士との共同研究も継続しており、国内外の研究者との共同研究体制を強化することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
「複合パルスのNMR測定への応用」、「量子誤り訂正」そして「緩和を研究するためのNMRモデル」の研究成果を投稿することが重要である。また、高分解能NMR装置を使用している研究者に複合パルスを使用してもらえるように、その有用性を量子情報だけでなくNMRに関する研究会で積極的にアピールしたい。 昨年、一昨年と夏休みに国外の著名な研究室に約1ヶ月滞在することができ、大きな刺激を受けることができた。今後も内外の研究者との共同研究を行う機会をできるだけ作って、研究の発展を図る。
(次年度の研究費の使用計画) 平成25年度のSuter教授、平成26年度のJones教授の研究室の約1ヶ月の滞在は非常に有益であった。そこで、最終年度の平成27年度も是非1ヶ月ほどの滞在を他の研究室で行いたいと考えており、科研費をその費用に充てる。また、市販の高分解能NMR装置を使った実験だけではなく、量子アルゴリズムを実行できる小さなNMR装置の開発を本研究の目的としているので、そのための材料費や試料代に本科研費を充てる。
|
Causes of Carryover |
研究の進捗状況を考慮し、論文投稿のための費用を次年度に繰り越した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在執筆中の論文投稿料として利用する予定である。
|
Remarks |
研究紹介と論文リスト。
|
Research Products
(8 results)