2014 Fiscal Year Research-status Report
マントルの3次元マルチスケール実体波波形インバージョン
Project/Area Number |
25400442
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
ゲラー ロバート 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40170154)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | グローバル地震学 / 波形インバージョン / マントルの境界 / D”領域 / キャロラインホットスポット火山 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球は、地表から深さ方向に地殻・マントル・外核・内核にわかれている。外核と接するマントル最下部はD”領域(ディーダブルプライム、厚さ数百キロの領域)と呼ばれる。液体鉄合金からなる外核に近づくにつれて、D”領域内で温度や化学組成が急変する。この領域を介した物質やエネルギーのやり取りはマントルの熱化学進化の観点から地球の進化を考える上で重要な手かがりとなるが、その詳細な構造はいまだ明らかになっていない。 我々は、前年度に開発した地震波形インバージョン手法を用いて、防災科学技術研究所で提供されている広帯域地震観測網(F-Net)のデータを解析し、西太平洋下のD” 領域の詳細な3次元構造を推定することに成功した。その構造には、高さ300km程度の「逆Y字型タワー構造」の低速度領域が見られた。これは核とマントルの境界における局所的な高温領域であると解釈される。この構造はキャロラインホットスポット火山のほぼ真下に位置するため、今まで不明であったこのホットスポットの起源が核とマントルの境界であることを示唆する。従来の希ガスの同位体を用いた研究から、キャロラインホットスポット火山は初生的もしくは孤立したマントル由来であることが示唆されていたが、今回の成果はその仮説を裏付ける証拠となる。今後キャロラインホットスポット火山の年代軌跡の研究から過去のプレートの運動の研究が進むことが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
様々な工夫により計算の効率化を図った。地震波形の独自データフォーマットを作成し、必要なデータストレージ容量を小さくした。理論地震波形や偏微分係数波形の計算アルゴリズム(Geller & Ohminato 1994; Geller & Hara, 1993)の実装を並列化し計算性能を従来よりも大きく改善した。また、データ処理及び理論計算ともに非同期処理の見直しをし、高い効率で分散処理を可能とさせるフレームワークを構築した。TSUBAME(東工大)のような大規模クラスタ型スーパーコンピューターへの最適化も行い、計算時間、データ処理ともに所要時間の縮小を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
他の様々な領域の速度構造推定を同手法を用いて進めていく。 同時に、非弾性減衰や異方性パラメタも考慮し、手法改善を図っていく予定である。
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Research Products
(1 results)