2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25400476
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
長井 嗣信 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (60260527)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 磁気リコネクション / 磁気圏尾部 / サブストーム / オーロラ / 宇宙プラズマ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最大の課題は、磁気リコネクションの3次元構造の解明である。これまでに、磁気圏尾部の軸方向の鉛直2次元平面内(地球を中心として太陽方向をx、北方向をzとしたときにxz断面)について解析していた。前年度の解析で、磁気圏尾部の赤道2次元平面内(これまでに解析されてきた面に垂直な、先の座標系のxy断面)についての解析が行われた。そこでは、磁気リコネクションの3次元構造は、イオンのミクロな構造として、+y方向の境界の効果が見つけられた。この構造をさらに追及するために、X-line近傍について、速度分布関数を用いて、赤道面と赤道面から離れた場所でのイオンの加速過程を解析した。イオンは、インフローの段階で赤道面に向かうz方向のホール電場により10 keV程度まで加速され、アウトフローの段階で、+y方向のリコネクション電場により40keV程度まで加速されることを示した。これにより、イオンの加速過程がわかったので、この東西方向での加速過程の違いを明確化すべきであるという次の研究方針を得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の解析により、磁気リコネクションのX-line近傍でのイオンの加速過程が解明でき、アメリカ地球物理学会の論文としてまとめることができた。さらに、今までの研究のまとめとして、一般的な概説をまとめることも行えた。これらの成果をもとに、X-lineの東西方向の長さを推定できる方法が見つかったので、次年度の研究の方針もまとまった。
|
Strategy for Future Research Activity |
過去2年間の研究から、磁気リコネクションのx方向(太陽と磁気圏尾部)では、イオンと電子の結合が解ける領域(ホール物理が優勢な領域)は、イオンの慣性長の10倍程度であることが分かり、その中での領域区分もできるようになった。この領域の中でのイオンの加速過程についてもわかってきた。つぎには、X-lineの東西方向の長さの推定を、イオンの加速効率等から見積もることをおこなう。現時点では、X-lineの東西方向の長さは4倍の地球半径程度であり、磁気圏尾部の幅の40倍の地球半径よりかなり小さいことが推定できている。この点を確認して、この研究のまとめを行う。
|
Causes of Carryover |
アメリカ地球物理学会へ投稿した論文の投稿料の確定が2015年3月にずれたために、一部の予算をとっておいたが、結果として、この予算で支払いができなかったため、次年度へ使用額を繰越することとなった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文投稿料がやや上昇しているので、当初の予算額に追加できることで、円滑に論文を投稿できる見込みである。
|
Research Products
(2 results)