2013 Fiscal Year Research-status Report
水素原子・水素分子の内部状態を精密に考慮した核融合周辺プラズマ解析コードの開発
Project/Area Number |
25400532
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
澤田 圭司 信州大学, 工学部, 教授 (40262688)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 核融合プラズマ / 原子・分子過程 / 衝突輻射モデル / 中性粒子輸送コード / 内部状態 |
Research Abstract |
我々は、核融合プラズマの水素原子・水素分子の反応・空間的な流れ、粒子バランス・エネルギーバランスを理解することを目的として、水素原子衝突輻射モデル、水素分子衝突輻射モデル、およびこれらを組み込んだ水素原子・分子中性粒子輸送コードの構築を行ってきた。本研究では、これらの計算機コードについて、原子・分子の内部状態をより正確に扱うことや、輻射輸送を組み込むことなどの精密化を行う。今年度は、下記のような計算機コードの整備・計算を行った。 (1)プラズマ中の水素分子の各種反応の反応速度係数は、分子始状態の電子基底状態の振動・回転状態に大きく依存する。しかし、従来の中性粒子輸送コードでは、いろいろな振動・回転状態にある分子の密度分布が考慮されていない。今年度、我々が開発を進めている電子・振動・回転状態を区別した水素分子衝突輻射モデルを用いて、水素分子の電離・解離等の各種反応の実効的速度係数を計算した。また、中性粒子輸送コードにその結果を組み込んだ。さらに、LHDプラズマの真空紫外・可視領域おける水素分子発光スペクトルの計算を、これらの水素分子衝突輻射モデルおよび中性粒子輸送コードを用いてできるようにした。 (2)水素原子ライマン線の輻射輸送は、核融合ダイバータプラズマの粒子・エネルギーバランスに重大な影響を及ぼすと考えられる。我々は、プラズマ中の光の放射・吸収を考慮し、光強度の空間分布と励起原子ポピュレーションの空間分布を収束計算により同時に計算する計算機コードを開発している。今年度、DEMO(SlimCS)のダイバータプラズマの輻射輸送の計算を行った。現在のところ、輻射輸送を無視したダイバータシミュレーションコードで得られた電子温度・密度、原子密度・温度を用いた計算ではあるが、再結合プラズマとされていた多くの場所が、輻射輸送を考慮すると電離進行プラズマになるという計算結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は初年度である。計画では、電子・振動・回転状態を区別した水素分子衝突輻射モデルによる各種の水素分子の反応の実効的速度係数を算出し、中性粒子輸送コードに組み込むことが最も大きな課題であったが、これを概ね行うことができた。これに加え、LHDの原子・分子輸送シミュレーションを行い、また大型装置(DEMO)の輻射輸送の計算コードの整備に着手した。全体として、おおよそ交付申請書に計画として記したとおりであり、研究は順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
電子・振動・回転状態を区別した水素分子衝突輻射モデルについては、モデル中の自然放出確率や電子衝突反応断面積の改善を継続して進めていく。中性粒子輸送コードでは振動状態の異なるものは異なる粒子として区別しているが、回転状態については、現時点では、ボルツマン分布を仮定している。この仮定の妥当性を検討し、必要ならば、すべての振動・回転状態を区別したコードを構築する。水素分子衝突輻射モデルおよび中性粒子輸送コードについては、重水素のコード構築の要望が大きいため、その構築を進めるつもりである。次年度以降、水素原子と水素分子の衝突を扱っていく予定である。
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Research Products
(3 results)