2015 Fiscal Year Research-status Report
水素原子・水素分子の内部状態を精密に考慮した核融合周辺プラズマ解析コードの開発
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25400532
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
澤田 圭司 信州大学, 学術研究院工学系, 教授 (40262688)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 水素分子 / 振動状態 / 回転状態 / 衝突輻射モデル / 中性粒子輸送コード / 重水素分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
核融合周辺プラズマ中の原子・分子の反応の流れなどを理解するために、衝突輻射モデルや中性粒子輸送コードなどの計算機コードの開発を進めている。今年度、(A)電子・振動・回転状態を区別した重水素分子衝突輻射モデルの構築、(B)主量子数・方位量子数を区別した水素原子衝突輻射モデルの構築およびこれへの水素分子衝突励起の組み込み、を行った。 (A)エネルギー準位は主量子数6までの計7817の準位を考慮した。主量子数4以下の準位については振動・回転状態を考慮した。信州大学RF放電装置の重水素放電実験で得られる可視域(380 nm - 800 nm)の重水素分子発光線強度と重水素分子衝突輻射モデルにより得られる分子発光線強度を比較してモデルの検証を行った。実験では電子温度・密度を求めるために重水素にヘリウムを混合して放電を行った。ヘリウム原子発光線解析により電子温度・密度の視線方向分布を算出して重水素分子衝突輻射モデルに与え、Fulcher-Band (580 nm - 640 nm)の発光線から、振動温度3000 K、回転温度500 Kを決定し、可視域の重水素分子発光線を計算した。実験と計算の発光線を比較したところ分子発光線の波長はよく一致した。Fulcher-Band 発光線強度については計算は実験を概ね再現し、また、Triplet b状態に遷移する連続光も計算は実験をよく再現した。他の発光線の強度については、計測値を再現する電子基底状態から各励起状態への励起断面積(電子状態のみ区別)の値を推定した。 (B)主量子数・方位量子数を区別した水素原子衝突輻射モデルでは、R-MATRIX計算による電子衝突励起断面積を組み込み、また水素分子衝突励起を組み込んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計算機コードの開発は、(1)電子・振動・回転状態を考慮した水素・重水素分子衝突輻射モデルの構築、(2)それを用いた各種反応速度係数の計算、(3)これらの中性粒子輸送コードへの組み込み、(4)主量子数・方位量子数を区別した水素原子衝突輻射の構築およびこれへの水素分子衝突励起の組み込み、(5)偏光を考慮した水素原子ライマン線輻射輸送の評価、をこれまで行い、さらにこれらのテストとして(6)信州大学RF水素プラズマの原子・分子発光線解析を進めている。上記のとおり概ね順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)水素分子に対する水素原子衝突の影響を評価する。(2)これまで開発した水素(H2)・重水素(D2)の衝突輻射モデルに加え、HD、T2、DT 等のモデルを整備し、各種反応速度係数を計算し、中性粒子輸送コードに組み込む。また(3)引き続き、信州大学RFプラズマを用いてモデルの検証を進めていく。
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