2014 Fiscal Year Research-status Report
静電型リニアイオントラップを用いた準安定状態イオンの禁制遷移寿命測定の精密化
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25400537
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
斉藤 学 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60235075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
春山 洋一 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (00173097)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 分光計測 / 禁制遷移 / 放射寿命 / トラップ / プラズマ |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、装置の開発と設置およびその試験測定を行い、実験装置を完成させた。本年度はこの装置を用いて1S0準安定状態Kr2+イオンの3P1状態への禁制遷移寿命測定実験を行った。脱励起光の波長は350nmである。 測定は、データーの統計精度をあげることと測定の再現性を確認する目的で、3回行った。1回の測定あたりトラップへのパルスイオンビーム入射と光子検出を約10万回(約70時間の測定時間に対応)繰り返した。 3回の測定結果はそれぞれ誤差の範囲で一致しており、実験の再現性が確認された。この3回の測定結果の平均より、1S0準安定状態 Kr2+イオンの3P1状態への禁制遷移寿命は17.4±0.4 msと決定できた。測定誤差は2%であり、この精度は過去の他グループの測定精度を2倍以上上回る精度である。これにより、当初の研究目的であった『準安定状態にあるイオンの禁制遷移寿命の精密測定』を、一種類の準安定状態イオンに対してだけではあるが、達成できた。 得られた結果は過去の他グループの測定結果と誤差を考慮しても一致せず、大きな値を示したが、過去の理論計算値とはよく一致している。過去の測定値と異なる理由を探るために、トラップ内残留ガスとの衝突によるイオン損失の補正法を他グループの実験と同じ方法にして、再度寿命測定をおこなった。しかし、得られた寿命値に変化はなかった。 これまでの本研究課題の成果を論文にまとめ発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の実施計画は、開発した装置を用いて1S0準安定状態Kr2+イオンの3P1状態への禁制遷移寿命の測定実験を行うことであった。この測定を年度内に遂行でき、過去の他グループの測定に比べより高い精度で測定できていることを示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、Kr以外の希ガスイオンの禁制遷移寿命測定を行い、本研究課題である精密測定が達成されていることを最終的に確認する。 新たな測定結果を含め、これまでの研究成果をまとめて論文や国際学会で発表する。
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Causes of Carryover |
平成26年度予定していた国際学会発表を,平成27年度開催の国際学会での発表に変更したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
イオン源ガスの購入、目的のイオンの発光波長に合わせたバンドパスフィルタの購入、および国際会議での発表のための旅費に用いる。
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Research Products
(1 results)