2013 Fiscal Year Research-status Report
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25410086
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
今岡 享稔 東京工業大学, 資源化学研究所, 准教授 (80398635)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | デンドリマー / 電子移動 / フェニルアゾメチン / ポルフィリン / エネルギー変換 |
Research Abstract |
亜鉛ポルフィリンをコアに有するフェニルアゾメチンデンドリマーについて、デンドロンとコアとの間にビフェニルのスペーサーを挿入することで世代数を第五世代まで拡張し、室温下での電荷分離寿命を10msまで拡張することに成功した。電荷分離と再結合反応それぞれの反応速度を解析することで、これまでのフェニレンをスペーサーとした時と同様、非対称な電子伝達系となっていることを確かめた。 液晶分子をコアにもつフェニルアゾメチンデンドリマーの合成にあたっては、これまで行ってきたシアノビフェニルを極性基として持つ末端修飾デンドリマーを拡張し、ベンジルエーテルを分岐骨格として二倍のメソゲンを導入した。その結果、液晶構造の安定化と規則性の向上に成功し、等方的な液体構造への転移温度は84.7℃から87.9℃へ、メソゲンユニット当たりの転移エンタルピーは3.62 kJ/molから4.67 kJ/molに増加した。液晶状態において基板上でずり応力を加えることによって横方向への一軸配向を得る事に成功、この様子を偏光顕微鏡で観察した。XRDによる階層構造の観察も行い、面外方向へd=5.2nmの規則的な積層構造を有していることが判明した。 これらの末端に液晶性を示すメソゲンを導入したデンドリマーでも従来と同様に内側の層からの段階的な金属集積を示すことがUV-visタイトレーションより示された。このことは末端の修飾の有無にかかわらず、樹状骨格特有の電子密度勾配は維持されていることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
安定な液晶構造を示すデンドリマーの創製に成功しており、また、液晶構造の配向性は応力によって任意の方向に向けることが可能であることが確かめられた。分子レベルでは、期待通りの電子密度勾配を示すことが確かめられたことより、当初の目的は概ね達成していると考える。一方で垂直方向への配向には改善の余地があり、引き続き、検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
電子移動の異方性を生み出す骨格としてはこれまでフェニルアゾメチン構造を基本として検討してきたが、より大きな異方性を生み出す骨格の開発が望まれる。そのため、イミン構造を基本とした骨格の拡張を行う予定である。大きなポテンシャル勾配を発現する骨格としてはイミダゾールやチアゾールなどが考えられる。分子計算による検討と合わせて実際に合成を進めていく予定である。 得られた最大分極構造に対してメソゲン分子を修飾し、配向性を持たせて、太陽電池等の光電変換素子作製を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
組織構造の直接観察のための試料調製(ミクロトームによる切り出し)が未完了であり、TEM観察用のグリッドを購入しておらず、該当する支出を翌年に回したため。 26年度に引き続きTEM観察を実施し、該当する支出を行う予定である。
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Research Products
(2 results)