2013 Fiscal Year Research-status Report
ナノ粒子分散高分子系における流動誘起ゲル化の分子機構の解明
Project/Area Number |
25410224
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古賀 毅 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80303866)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ゲル化 / 剪断流 / コロイド分散系 / 高分子 / 分子動力学 |
Research Abstract |
本研究課題では,申請者が発展させてきた「組み替えネットワーク理論」と分子動力学(MD)シミュレーション法をナノ粒子が分散した高分子系に適用し、流動誘起ゲル化,及びそれに伴う劇的なシア・シックニング現象の分子機構を解明し,その制御を行う理論的基礎を構築することを目的とする. 平成25年度は,球状粒子と複数の会合基を有する会合性高分子の混合系に関して研究を行った.この系は,最近流動誘起ゲル化現象が報告されているシリカ粒子分散系にPEO(ポリエチレンオキシド)鎖を加えた系に対応する. 研究計画通りにまず,「① 球状ナノ粒子/会合高分子混合系の流動誘起ゲル化のシミュレーションによる再現」を目指して以下の研究を行った.(1) 球状ナノ粒子と高分子からなる系を考え,ナノ粒子としてシリカ粒子,高分子としてPEOを想定したので,ナノ粒子と高分子は水素結合を形成すると仮定した.(2) 計算手法は,これまでの研究で実績のある平衡・非平衡分子動力学法を用いた. (3) 熱力学的パラメータ(温度,全濃度,ナノ粒子/高分子のモル比)と分子パラメータ(粒径,高分子重合度など)を系統的に変えた場合のパーコレーション確率を計算し,平衡でのゾル・ゲル転移線を決定した.同時にクラスターの解析を行い,粒子と高分子の会合状態を解明した.(4) 平衡状態での計算結果をもとに,ゾル・ゲル転移領域近傍で定常剪断流動下でのシミュレーションを行い,流動誘起ゲル化の再現した. (5) シミュレーション結果の詳細な解析により,流動誘起ゲル化の分子機構を解明した.以上の結果は,日本レオロジー学会誌に投稿し,受理された. また,「② 球状ナノ粒子/会合高分子混合系の流動誘起ゲル化の理論構築」についても,現在,平衡状態でのナノ粒子と高分子の会合状態に関して,自己無撞着場理論による計算を実行中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は,球状粒子と複数の会合基を有する会合性高分子の混合系に関して研究を行うことを計画していた.具体的には,「① 球状ナノ粒子/会合高分子混合系の流動誘起ゲル化のシミュレーションによる再現」,「② 球状ナノ粒子/会合高分子混合系の流動誘起ゲル化の理論構築」の二つの課題を実行予定であった.最初の課題に関しては計算が完了し,研究成果を論文にして学術誌へ投稿して受理されている.二番目の課題も順調に進展しているので,研究全体としておおむね順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
上記したように,現在まで本研究計画は順調に進展してきているので,今後も当初の研究計画通りに研究を推進する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は,当初計算機シミュレーション用にワークステーションの購入を考えていたが,計算効率の良いアルゴリズムを開発できたことで,より安価な計算機での計算の実行が可能となったので,差額を翌年度分として請求した方が良いと判断したため. 平成26年度は,計算機シミュレーションを用いた研究が重要となり,負荷の大きな計算が多くなるので,前年度に翌年度分として請求した金額を合わせて,計算機シミュレーション用の計算機の充実を図り,シミュレーションによる研究を推進する予定である.
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Research Products
(9 results)