2014 Fiscal Year Research-status Report
高密度電流の流れる電子配線カーボンナノチューブの損傷支配パラメータ特定と強度評価
Project/Area Number |
25420002
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
笹川 和彦 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (50250676)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村岡 幹夫 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50190872)
巨 陽 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60312609)
藤崎 和弘 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (90435678)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 電子パッケージ / 信頼性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.シリコン基板に電流入出力用の金属薄膜パッドを形成し,その上にチャネルを設けたフォトレジスト層を準備し,誘電泳動法よりもCNTを効率良く集積させるディップコーティング法を施すことにより,単体CNTのネットワーク化を行い,通電試験に適したCNTネットワーク構造試験片を作製することに成功した。 2.配線長さ(試験部長さ)の異なるCNTネットワーク構造配線を作製し,さらに直線形状だけでなく直角に折れ曲がるCNTネットワーク構造配線を作製した。これらを通電実験に供し,2次元的な電流・熱環境を考慮してCNT配線の損傷機構に対し,より詳細な検討を行った。 3.レーザー共焦点型顕微鏡を用いて,通電試験後のCNTネットワーク構造試験片の3次元形状観察を行った。その結果,配線部中央でのあるいは配線部全体での厚さの減少がみられ,そこでの高密度電流による損傷が確認できた。 4.通電時の供給電流と計測電圧の関係から試験片の電気特性を検討した結果,昨年度形成したCNTネットワーク配線よりも配線試験片の電気抵抗値は減少し,CNTのネットワーク化をより高密度に改善できた。しかしながら実用的には未だ十分でなく,これにより配線中央部での酸化蒸散機構による損傷が生じたものと考えられた。 5.CNTアレイと導電性金属ナノワイヤアレイおよびガラス基板とを接着させ,CNTアレイの電気的特性および力学的特性を評価した。 6.酸化蒸散とエレクトロマイグレーションの二つの損傷機構を考慮した損傷過程の数値シミュレーション構築に関して,シミュレーションに用いるCNT損傷支配パラメータ式の定式化を昨年度に引き続き行った。実験結果に基づき,昨年度の成果である1次元のパラメータ式から2次元へのパラメータ式への拡張を図った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた誘電泳動法による試験片ではなく,最近開発されたディップコーティング法を採用したことにより,より実使用環境に近い集積化したCNTネットワーク構造試験片を効率よく作製することができるようになり,通電試験の実施にも成功している。 一方で,試験片表面にシリコン系の保護膜を被覆したものとしないものを用意する予定で,作成準備も整っていたが,表面をシリコン系保護膜被覆した試験片については作成せず,今年度は予定になかった試験片形状の異なる試験片の作製を優先した。これにより,実際に用いられる2次元形状の配線を対象とした損傷機構のより詳細な検討を行った。 また,最終年度に実施予定の損傷支配パラメータの定式化と数値シミュレーションによる強度評価法の構築を先行して昨年度着手し,今年度はその評価法をより実際に近づける洗練化を行った。 保護膜の影響を考慮した研究項目以外は,予定より早めに進行しており,全体的にはおおむね順調な達成度と考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度から,当初予定の誘電泳動法ではなくディップコーティング法により,より実使用環境に近い集積度を上げたCNTネットワーク構造試験片を形成し,実験に供している。試験片の電気特性に関し今年度は大きく改善したが,さらに電気抵抗の低い試験片を作製する必要があり,ディップコーティング法による試験片作製法の改良に取り組んでいく。 また,保護膜被覆を行った試験片の作製と通電試験を実施するとともに,保護膜被覆時のCNT損傷支配パラメータ式の高度化と強度評価に用いる損傷過程の数値シミュレーションの高精度化にも取り組んでいく。
|
Causes of Carryover |
試験片の微細加工に用いる薬品等の消耗品費と分析機器の使用料に不足が出ないよう余裕をみていたが,結果的に若干の余剰が出たものである。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に実施の研究において試験片の作製,通電試験の実施の頻度が多くなる予定である。試験片作製に用いる薬品等の消耗品費と通電試験結果を分析するために用いる機器の使用料に対し余剰分と次年度当初額を合わせて活用する予定である。
|