2013 Fiscal Year Research-status Report
Zero-group velocity ラム波を用いた接着性状の非接触非破壊評価
Project/Area Number |
25420031
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
長 秀雄 青山学院大学, 理工学部, 教授 (60296382)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 接着状態 / 非破壊検査 / 超音波検査 / ラム波 / 非接触計測 |
Research Abstract |
2013年度は,主に以下の2つの測定を行った.(1) 厚さ3㎜のアルミニウム合金板を2液混合型エポキシ系接着剤で接合したラップジョイント型試験片を作成し,Zero-group-velocity(ZGV)ラム波をレーザ超音波法を用いて測定し,その後引張せん断試験で求めたせん断強度との関係を調べた.(2) 同様な試験片に対して,接着部に円孔を付与した応力集中部を作成し,引張せん断試験による円孔周辺部の微小き裂とZGVラム波の相関について検討した.以下に主な結果を示す. 1)ZGVラム波とせん断強度の関係について 接合試験において密着強度は接合面の性状を変化させて行った.すなわち,高強度試験は接合面(25㎜×13㎜)を#80で研磨した粗面仕上げとし,低強度試験では鏡面仕上げののち接合面にグリースを薄く塗布した.測定は接合面内において2㎜ピッチで8点を3列に対して行った.両試験片において1MHzおよび3MHz近傍にZGVラム波に起因する周波数スペクトルが明瞭に検出され,それらの周波数と完全接合状態(界面において応力と変位が連続)における解析に求まるZGVラム波の周波数との差とせん断強度の差を評価した.その結果,1MHz近傍でのZGVラム波において接合面内のもっとも低い周波数(解析解との差の大きな周波数)は,せん断強度が低いほど,低い周波数を示し,相関があった. 一方,3MHz近傍のZGVラム波の周波数は相関を示さなかった. 2)微小欠陥とZGVラム波の周波数の関係 引張せん断試験中の円孔周りの微小き裂についてアコースティック・エミッション法を用いた発生の状況を把握し,除荷したのち円孔周りのZGVラム波の計測を行った. その結果,負荷前に計測したZGVラム波の周波数と大きな変化は得られなかった.一方,ZGVラム波のスペクトルの振幅は微小欠陥が累積した領域では明瞭に低下することが確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績概要に示したように当初予定していた実験のうち空中超音波による計測を除いては,十分に行うことができ,今後の研究につながる成果を得た.空気結合型の探触子による非接触計測については,1MHzと3MHz近傍のZGVラム波を同一の探触子で検出できる探触子の選定ができなかった.この点については継続して探触子の選定を行う. また,数値計算については,基本的な部分のプログラムが完成しており,2014年度にZGVラム波の振動形態について評価を行う.一方,2014年度に予定していたラップジョイント型試験片で求めた密着せん断強度とZGVラム波の周波数の関連については前倒しで測定を行っており,実験の手順に変更はあったが研究自体はおおむね順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度は,ZGVラム波と接着状態についてFDTD(Finite domain time domain)法による数値計算を用いて接着性状の違いによる界面部での振動形態の変化について理解する.そこで,接着性状はスプリングモデルを用いてモデル化を行う予定にしている.一方,実験では透明試験片(現在はガラスを予定)を用いて直接的に界面部振動をレーザ干渉計を用いて行うことを予定している.これらの2つの成果に基づいて密着性状とZGVラム波の振動形態の関係を物理的に検証し,接着性状に敏感なモードと鈍感なモードではどのような違いが起こっているのか?また,接着強度が低い場合,界面においてどのような振動形態になっているのかを理解する.また,空気結合の探触子についてはさらに探触子の選定を行うが,もし要求を満たした探触子を選定できない場合は,1MHz帯の振動を検出できる探触子の選定を行い,一つの周波数に注目して計測を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
集束型空気結合探触子による計測を予定していたが,今回の計測(1MHzおよび3MHzのピークを有するZGVラム波の振動の計測)において1つの探触子で計測が可能な探触子を探していたが,そのような探触子を選定することができなく,探触子およびその周辺部品(ケーブル等)の予算が次年度使用額として生じた. 今年度は引き続き探触子の選定を行うが,二つの周波数帯の信号が1つの探触子で検出できない場合は,接着性状の影響が大きく現われるであろう1MHz帯の探触子を選定し,測定を行うことを検討する. そのほかの部分については当初の予定通り計測に必要な消耗品の購入を行う.
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