2013 Fiscal Year Research-status Report
単結晶ダイヤモンド製マイクロフライス工具によるセラミックスの超精密切削
Project/Area Number |
25420074
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
鈴木 浩文 中部大学, 工学部, 教授 (20282098)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 単結晶ダイヤモンド / レーザ加工 / セラミック / 超精密切削 / 超硬合金 / 非球面金型 / マイクロフライス工具 / 切りくず |
Research Abstract |
情報電子デバイス,医療用マイクロデバイスにおいて,素子のガラス化,微小化,微細化,高精度化が強く要求されており,ガラス成形の高温耐熱性のあるセラミックス型の超精密・微細加工が不可欠である.しかし,従来のマイクロ・ダイヤモンドホイール(砥石)によるセラミックの超精密研削加工では,工具摩耗等のため加工精度と能率に限界が生じている.そこで,本提案書では,断続切削の「マイクロフライス工具」に着目し,レーザ加工を応用して単結晶ダイヤモンド製のマイクロフライス工具の創成技術を開発し,硬質脆性材料であるセラミックスに対して,微細で構造的な超精密形状の創成を目指し,そのメカニズムを明らかにすることを目的としている. 今年度は以下の研究実績が得られ,おおむね本年度の目標を達成した. レーザビーム走査装置の設計・試作するために,パルス・ファイバーレーザに集光光学系を付加したレーザ走査システムの仕様を策定した.これらの設計・試作したパルス・ファイバーレーザとレーザ集光光学系を,3軸制御の位置決め装置(同時3軸制御)に搭載し,レーザビームスキャン装置を試作した. 次に,レーザビームによる単結晶ダイヤモンドの加工特性の評価を行うために,構築したレーザビーム走査装置を用い,単結晶ダイヤモンドに対する基礎的な加工特性を評価した.ダイヤモンドの結晶方位によるレーザ加工の熱加工速度や表面粗さを明らかにした.そして最も良好な粗さ分布が得られるレーザ照射条件を解明した.さらに,ダイヤモンド上の単一加工痕の分布形状から,デコンボリューション理論によりレーザ走査軌跡と速度分布を計算する理論を明らかにし,レーザの3次元軌跡を逆算する方法を確立した.最後に,滞留時間制御レーザ加工システムを構築し,φ0.5~5mm程度のダイヤモンドの形状誤差を最小にするための形状修正手法,レーザ走査条件を明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.レーザビーム走査装置の設計・試作: パルス・ファイバーレーザに集光光学系を付加したレーザ走査システムの仕様を策定した.これらの設計・試作したパルス・ファイバーレーザとレーザ集光光学系を,3軸制御の位置決め装置(同時3軸制御)(既存のNC駆動装置)に搭載し,レーザビームスキャン装置を試作した. レーザの仕様は次の通りであった.レーザ光集光スポット径:1μm,波長:1.06-1.08μm,ピークパワー:10kW 走査システムの基本的な仕様は以下の通りであった.X軸:ストローク/100mm,Y軸:ストローク/100mm,Z軸:ストローク/50mm,位置決め精度/0.1μm 2.レーザビームによる単結晶ダイヤモンドの加工特性の評価: 構築したレーザビーム走査装置を用い,単結晶ダイヤモンドに対する基礎的な加工特性を評価した.(1) 単結晶ダイヤモンドの結晶方位によるレーザ加工の熱加工速度や表面粗さを明らかにした.(2) 一定時間,レーザビームを単結晶ダイヤモンドに照射すると,レーザビームのエネルギー密度分布により凹面形状に加工される.これは研磨加工における「単一加工痕」に相当し,この形状が最も良好な粗さ分布が得られるレーザ照射条件を解明した.(3) この単結晶ダイヤモンド上の単一加工痕の分布形状から,デコンボリューション理論によりレーザ走査軌跡と速度分布を計算する理論を明らかにし,レーザの3次元軌跡を逆算する方法を確立した.(4) 滞留時間制御レーザ加工システムを構築し,φ0.5~5mm程度の単結晶ダイヤモンドの形状誤差分布を最小にするための形状修正手法,レーザ走査条件を明らかにした.
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Strategy for Future Research Activity |
3.単結晶ダイヤモンド製マイクロフライス工具の試作を以下の要領で行う. (1)単結晶ダイヤモンド製マイクロフライス工具の形状を設計し,CAMデータを作成し,マイクロ工具を試作する.工具は図9に示すように超硬のシャンクにロウ付けしてから,シャンクの外周を基準にレーザ加工する.(2) 単結晶ダイヤモンドの結晶方位による硬度,へき開性,耐摩耗性を考慮し,工具形状,方位を決定する方法を構築する.(3) 摩耗特性を比較するため,先端がシャープなものとアール加工をしたものを試作する. 4.単結晶ダイヤモンド製マイクロフライス工具の摩耗特性評価を以下の要領で行う. 単結晶ダイヤモンドの結晶方位,刃先のエッジのアールなど工具の仕様を変化させ,摩耗特性を評価する.試作した単結晶ダイヤモンド工具を超高速空気静圧スピンドルに取り付け,平面形状のセラミックス(超硬合金,SiC)を切削加工し,各結晶方位のダイヤモンド工具の摩耗速度を比較評価する.(1) 摩耗の評価法:工具をスピンドルに取り付けた直後と,所定の切込回数毎に,カーボン板をダミー材としてプランジカットし,その形状を非接触形状測定装置(三鷹光器㈱製NH3SP)により計測し,そのデジタルデータからPCにて摩耗量を計算する.(被削材の除去体積)/(ダイヤモンドの摩耗体積)により評価する.(2) ダイヤモンドの各結晶方位に対するセラミックスの耐摩耗特性を評価し,データベース化する.(3) 耐摩耗性を考慮し,最適な工具形状や結晶方位を明らかにする.
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