2014 Fiscal Year Research-status Report
基本形状配置による機械部品の製造性・安全性などの高速な評価
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25420081
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
乾 正知 茨城大学, 工学部, 教授 (90203215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅津 信幸 茨城大学, 工学部, 講師 (30312771)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 加工性評価 / 安全性評価 / CAD / コンカレントエンジニアリング / 並列図形処理 / GPGPU |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,基本形状の配置により製造性や安全性を評価するプログラムの開発と,それらを企業に持ち込んでの実用性評価を中心に研究を行った. 昨年度開発したアルゴリズムに基づいて,以下のプログラムの実装を行った.(1)機械部品内部の厚みや外部の隙間を評価するプログラム:立体の内部や外部に球を配置.球の培地場所の決定にはボクセルモデルと距離場を利用(2)機械部品のフィレット半径を評価するプログラム:立体表面を微細なポリゴン群に変換し,各ポリゴンを長田パッチと呼ばれる三角形状の自由曲面パッチに置き換えることで各ポリゴンにおける「曲率」を評価.(3)機械部品のシャープなエッジを検出するプログラム:立体の各辺に微小な楔形状の配置を試み,配置の可否に基づいてシャープエッジを判別.(4)自動車内装部品の安全性基準の一つであるECE-21を評価するプログラム:立体表面に球や円筒形,正三角形を配置しそれらの和形状を算出.この処理を安定的に実現するために,立体モデルを直方体群に置換. 開発したプログラムは研究室内でテストするだけでなく,研究成果に興味を持つ企業に積極的に貸し出し,実務の場において性能評価を行った.その結果(1)~(3)については,性能は十分だがユーザインターフェイスに問題があり,そのままでは企業内での利用が困難との評価だったが,(4)については従来技術と比較して10倍を超える高速性を高く評価され,多少の手直しだけで実務での利用が可能,積極的に利用したいとの評価であった.この要望に応えるために現在プログラムの改修を行っている.またこれらの成果については,論文投稿や国際会議での発表を行い,雑誌論文2編掲載,国際会議論文2編の結果となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は研究代表者が入試業務の責任者だったため,研究時間確保がかなり困難であったが,予定通りの成果をあげることができたと評価している.具体的には機械部品の製造性にかかわる幾何的な特徴量をGPUの並列処理により抽出するプログラムを3種類,また安全性評価に関する特徴量を抽出するプログラムを1種類実現し,それらを企業に持ち込み実務の観点から評価を受けたこと,特に安全性評価については実務で利用したい,との評価を受けたことは,生産支援の研究においては最大限の成果と考えている.これらの成果は学術誌論文や国際会議論文の形でも発表されており,学術的な観点からも十分な成果を上げることができたと自己評価している(これら以外にも学術誌論文を3編投稿しており1編が採択となっている).研究の過程では,GPUを用いた並列図形処理について様々な知見を得ることができた.これらは大学院向けの講義を通して学生教育にも反映されている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は本研究の最終年度となるが,これまで行ってきた機械製品の製造性や安全性評価のアルゴリズム設計やプログラム開発を継続して行う.プログラムを試用した企業へのインタビューを通して,新たな製造評価についての課題も明らかになってきている.特に機械部品に関する空間的な特徴量,具体的には特定の図形的性質を有する部品間の隙間の抽出や,厚み変化に特定の性質を有する部分の抽出などが要望されている.これらの隙間や厚み変化はプラスチック部品の成型性に大きな影響を与えることが知られているが,これまでこのような特徴形状を抽出するアルゴリズムが存在せず,経験者の目視による判断で処理を行っていた.このような判断を自動化し,積極的に設計者を支援するツールの開発を行いたいと考えている.また設計者を支援するためには,計算機による評価結果を分かりやすく可視化する技術が欠かせない.このような設計支援のための可視化については,これまで全く研究が行われていない.われわれは最終年度に,このような可視化技術についても成果を上げたいと考えている.
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Causes of Carryover |
本研究で使用するグラフィックス用ハードウェアは性能向上と価格低下が激しく,同程度の性能でより安価な製品を購入することができた.その結果次年度使用額が発生した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度については基本的には予定度通りの予算執行を考えている.繰越金については消耗品購入で使うことを予定している.また既に購入済みのコンピュータのGPU増強に利用することも検討している.
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