2014 Fiscal Year Research-status Report
境界層埋没型ボルテックスジェネレーターによる境界層剥離抑制の数値的研究
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25420105
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
澤田 惠介 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80226068)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 境界層埋没型ボルテックスジェネレータ / 非構造格子法 / 不連続ガレルキン法 / 4次精度セル緩和型陰解法 / 縦渦による誘導速度 / 運動量輸送 / 境界層剥離抑制 |
Outline of Annual Research Achievements |
境界層埋没型ボルテックスジェネレータ(submerged vortex generator, 以下SVG)による境界層剥離制御の数値的研究に関して,平成26年度は以下の2項目を実施した。 (1) 前年度に引き続きセル緩和型陰的不連続ガレルキン(DG)法を用いた高次精度非構造格子法の構築と改良を行い,空間4次精度の達成と計算時間の大幅な短縮を行った。昨年度の3次精度解法で用いられた基底関数の階層性を利用する係数行列の削除には格子依存性が見つかったため,本年度は係数行列の削除は行わず,その代わりDG法に用いる基底関数の直交性を利用して陰解法行列の徹底的な簡略化を行った。この結果,数値安定性を保ったまま陰解法部分の計算時間は1/20まで短縮され,空間4次精度の場合はステップ当たりの計算時間が陽解法の倍程度となり,空間4次精度陰解法の実用化に向けて大きく前進した。 (2) セル緩和型陰的DG法を用いてベーン型SVGと通常のベーン型ボルテックスジェネレータ(以下,VG)の計算結果を実験データと比較したところ,定性的には良い一致を見たものの,定量的な一致を得るには高密度格子の利用と4次精度以上のDG法適用が求められることが分かった。またいずれの場合もベーン前縁で生じた縦渦によって壁面に向かう速度場が誘導され,主流方向の運動量成分が輸送される様子が示された。シングルのVGとSVGの比較ではVGが輸送する主流方向運動量が格段に大きいことが分かったが,2枚のベーン型SVGを組み合わせるとVGと遜色のない運動量輸送が生じることが示された。これによって従来のVGに遜色が無くロスも少ないSVG形態が存在しうることが示された。ベーン型以外にも複数のダブレット型SVGによる境界層剥離抑制の試し計算も実施された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4次精度セル緩和型陰的DG法開発では基底関数の直交性を利用した計算時間の大幅な短縮と数値安定性の確保に成功した。一方,SVG周り流れ場解析では通常のVGとの比較を通して壁面に向けた主流方向運動量輸送の様子が明らかになった。さらに2枚のSVGを組み合わせたときにVGに勝るとも劣らない運動量輸送が実現することも明らかになった。一方,まだ初等的な段階であるがSVGによる境界層剥離抑制の解も得ており,SVGの基本的特性把握に必要な数値解析法の整備はほぼ完了したと言える。現在,4次精度セル緩和型陰的DG法の構築で得られた知見に関するジャーナル論文の執筆を進めおり,近々投稿予定である。また,ベーン型のVGおよびSVGの比較に関するジャーナル論文の執筆に向けて準備を進めている。以上より境界層剥離抑制についてはその効果の把握が若干遅れているものの,全体としては昨年の遅れを取り戻したと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
ベーン型のVGおよびSVGの比較ではエネルギ損失に関する議論が十分ではない。この点を明らかにする。また,実験的にはその有効性が確認されているダブレット型SVGの組み合わせについて,高次精度非構造格子法による数値解析を行い,実験データの再現や境界層剥離抑制効果の詳細な検討を行う。さらに複数のSVGの最適配置や最適形状についても検討を進める。数値解析手法の改良ではセル緩和型陰的DG法をLESに適用する準備を行い,初等的なLES解析を実現する。
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Research Products
(6 results)