2014 Fiscal Year Research-status Report
高出力球面誘導モータの性能評価手法の開発と実用性向上のための制御性向上
Project/Area Number |
25420221
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
熊谷 正朗 東北学院大学, 工学部, 教授 (70323045)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 球面誘導モータ / 球面モータ / 動力計測 / トルク測定 / 玉乗りロボット |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、球面誘導モータの動力特性の測定方法の検討を引き続き行った。目的の一つは球面モータの動的な特性、すなわち回転中のトルク特性を測定することであり、モータの効率を得ることである。無負荷でトルクを生じれば加速してしまうため、適宜負荷を与えつつトルクを出力し、測定条件の角速度で回転させる必要がある。当初は、モータ本体を速度制御し、摩擦パッドを押し付けることで動摩擦力で負荷をかけ、パッドに生じるトルクを6軸力覚センサで測定する手法を進めた。回転中の可変負荷は実現したが安定性を欠いたため本手法は断念した。 代替手法として、外部からロータを所定の角速度で回転させつつ、球面モータはトルク出力する方法を採用した。これには(1)上記摩擦手法が動摩擦制動により負荷トルクの方向が限定されるが、本案は角速度とトルクを独立に操作しうるため測定条件の幅が広い (2)上記案が速度制御までを球面モータ側で担当するためトルク変動が避けられないが、本案は一定トルクの出力で良く、平坦な特性が得やすい、という明確な利点がある。しかし外部から回転させる複雑さが欠点であり、当初案ではなかった。 本手法の実現には、本研究の動機でもある玉乗りロボットで用いた、複数の全方向移動車用車輪による球体駆動を行う。このために小型高精度の車輪を新たに設計開発した。この車輪を用いた駆動系の開発を現在進めている。 平行して外部業社にモータの電機子の試作製造を委託した。これはモータのある程度の量産化が可能かの検証と、製法の異なるモータの効率比較をするためのものである。現時点で実現には目処が付いている。 関連して、球面モータを走行駆動装置として用いるための予備研究を行った。既存の玉乗りロボットに、球面タイヤと見なした空気入りのゴム球を接触させて摩擦伝動することで、3自由度の動力を路面に伝える手法を試み、有効であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
予定よりも動力負荷方法の開発が遅れており、本格的な測定には至っていない。摩擦による負荷方法は、原理確認段階で、人の手によって物をこすりつけて行った際には有望と考えられたが、安定して定量的な負荷をかけるには押し付け力の操作に課題があった。そこで、別記の通り、もともと負荷性能も限定的であった本方法は破棄することとして、手段としては複雑化するが、外部から球体を回す手法に方針転換した。そのために必要な開発を進めたことによる遅れがある。研究開発努力が足りなかったことも否定はできない。 そのために本来2年目に予定していたモータの効率改善については進んでおらず、依然として評価手法の開発段階にある。一方で、当初計画の3年目にある、自身で内製した電機子に対する、外部で専門家によって作られた電機子の特性の違いなどを検証するための準備作業を行った。既存の電機子に比べて、性能向上が期待されるコア形状の設計の変更を行い、各種情報をそろえた上で現在試作を委託しており、この点はほぼ計画に沿っている。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは本課題の第一目標である、球面モータの評価手段の開発を優先して進める。球面モータの研究発表はいくつかあるが、評価手段が限られており、従来のモータのような評価による性能向上が行えていないため、評価手段の構築は同分野全体への貢献となることから、優先度が高い。これを受けて、当方のモータの動特性の評価を行い、今後のモータの性能向上に繋いでいくと共に、同性能を一般に公開することで、球面モータを応用したロボット開発などの研究のきっかけを提供していきたいと考えている。上記の外注の試みも、現在では代表者自身が手作りしていたものを外部発注できるようになれば、他の研究者の入手性向上にもつながるという考えがあり、この点については目処が付いたと考えている。
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Causes of Carryover |
当初計画で、3年目に使用するモータ試作機の外部試作を2年目から準備することとし、実際の支払いのタイミングが2年目になる可能性を考慮して2年目に予算計上をしていた。 業者と調整を進めるうち、先方の仕事の混み具合なども考慮して年度をまたぐこととしたため、ほぼそれに相当する額が繰り越しになっている。現在、実際の製造が始まっており、その支払いによってこの額が使用される予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の通り、外部試作品のための予算であり、試作品が納品された段階で、次年度使用額が使用される予定である(および一部27年度予算からも追加する)。
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Research Products
(1 results)