2013 Fiscal Year Research-status Report
再成長ソースを有する三次元構造InGaAs MOSFET
Project/Area Number |
25420322
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
金澤 徹 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (40514922)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | MOSFET / 高移動度チャネル / マルチゲート構造 / 化合物半導体 |
Research Abstract |
情報・通信技術の発達には電気回路を構成する主要部品であるトランジスタの性能向上が大きな課題となる。本研究は次世代の超高速・超低消費電力集積回路への応用が期待される高電子移動度を有するIII-V族MOSFETにおいて、高いドーピング濃度による低抵抗化が可能な再成長ソースによる駆動能力の向上と、立体型チャネルを用いたマルチゲート構造によるオフ特性の改善を同時に行うこと目的としている。 初年度の研究課題として再成長ソースを有するInGaAs三次元構造MOSFET作製のためのプロセス技術の開発を進め、提案構造におけるトランジスタ動作実現を目指した。高さ50 nmの立体型チャネル構造上に有機金属気相成長法を用いた選択再成長により高濃度ドープされたn型InGaAsソース領域の形成を行い、チャネル長40 nmまでスケーリングしたデバイスにおいて、目的とした構造の形成とそのトランジスタ動作を確認することが出来た。これにより、再成長ソース層を立体型チャネル構造上に形成するデバイス作製プロセスの原型が得られ、III-V MOSFETの高性能化への道筋を示すことが出来た。 また、再成長ソース構造は高アスペクト比を有するチャネルにおいて特にその効果が期待される。小さな配置面積で大きな電流を流すためチャネルの高さを増加させることは、回路性能の向上に有効である。チャネル構造に関しては電子ビーム露光によるパターニングに加えてドライおよびウェットのエッチング条件を整えることで高さ50nm幅20nmというアスペクト比での作製が可能となった。チャネル長についても20nm程度までで再成長プロセス導入のめどが立っており、スケーリング技術についての進展が得られた。 以上より、再成長ソースを用いた立体型InGaAsチャネルMOSFETのための各種プロセス技術の開発が達成され、性能向上の基盤となる技術を確立することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一の目標であった素子構造作製プロセスの立ち上げについては、電子顕微鏡による観察において目的の構造が形成されていることを確認するとともに、そのトランジスタとしてのデバイス動作を確認しており、本目標については達成することが出来た。一方でデバイスの性能については目指す水準に達していないため、今後改善に向けた取り組みを進めていく予定である。以上より、デバイス作製については概ね当初の計画に沿った進展が得られているといえる。 微細化プロセス技術に関してはチャネルの幅・長さともに20 nm程度までの作製が可能となった段階であり、こちらも初年度の目的としたデバイス設計(50 nm以下)を達成することが出来た。 シミュレーションに関してはドリフト拡散モデルを用いた計算で、従来型の構造と比較して電源電圧0.5 Vの条件において、最大50 %程度のオン電流向上が期待できるという結果が得られている。一方で量子効果等のより複雑な現象については未導入となっており、今後の取り組みが必要な段階であり、チャネルの形状に対する依存性についても更なる検証を行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
最大の目的としてMOSFETにおけるオン・オフ特性の双方に強く影響するゲート絶縁膜の改善を目指す。現在の原子層堆積プロセスに対して、他機関から報告例のある成膜前プラズマ表面処理を初めとする技術を導入し、絶縁膜界面品質を向上させるとともに、Al2O3と比較して高い誘電率が期待されるHfO2等をゲート絶縁膜とすることで、ゲート容量を増加させ、伝達コンダクタンスの向上とオフリークの低減を目指す。 再成長InGaAs層の結晶性・平坦性がコンタクト抵抗を劣化させ性能を制限していることを考え、この改善を行っていく。具体的には再成長を行う表面を、酸化による劣化が起こりやすいInAlAsから、半絶縁性のInPへと変更することでここに堆積するInGaAs層の結晶性の向上を図り、同時に結晶成長条件についても最適化を進めることで、再成長層のコンタクト抵抗・シート抵抗を削減し、オン電流の向上を目指す。さらにコンタクト電極の種類については電極金属についても検討を行い、合金化を含めてより抵抗を下げられる構造を開発する。 チャネル層形状についてより高いフィン形状と細いフィン幅を実現することでフットプリントあたりの電流密度向上と、ゲート制御性の向上を目指す。電子ビーム露光によるパターンの形成およびその後のエッチングプロセスをマスクの変更、誘導結合性プラズマの導入によるドライエッチング形状の改善、ウェットエッチチャントの変更によるチャネル幅制御性の向上などを目指した取り組みを行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
学会開催時期の関係上、当該年度に行った研究に関する学会発表および渡航等に関わる費用が一部次年度に繰り越されたため。 翌年度分予算については、当初の計画通り消耗品費・実験装置利用料金および分析依頼費を初めとした、各種研究課題に必要な経費として用いる。学会発表に関わる旅費については、繰越分を合わせての取り扱いを行う。
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Research Products
(3 results)