2014 Fiscal Year Research-status Report
MIS構造窒化物半導体トランジスタの低損失高耐圧化に関する研究
Project/Area Number |
25420328
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
葛原 正明 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20377469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳田 博邦 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), その他 (10625932)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 窒化物半導体 / パワーデバイス / HEMT / ゲート絶縁膜 / 表面保護膜 / 耐圧 / 電流コラプス |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、AlGaN/GaN MIS-HEMTにおいて、ゲート界面特性に優れ、しかも低オン抵抗性を備えるゲート絶縁膜を実験的に見出す検討と、高耐圧性と電流コラプスの少ない表面保護膜を実験的に見出す検討を個別に進めた。両者の特徴を失うことなく同時にトランジスタ特性に反映させることを目的に、ゲート絶縁膜には原子層堆積法(ALD)の堆積方法を最適化したAl2O3膜を、表面保護膜にはスパッタ堆積したSiON膜を採用することにより、高い耐圧特性と電流コラプスの少ない良好なデバイス特性が得られることを明らかにした。ゲート絶縁膜用Al2O3膜については、その初期堆積過程を詳しく検討するとともに、酸素源として、オゾン(O3)を用いることの有効性を確認した。また、高誘電率膜(ZrO2)の多層積層構造についても検討した。 パワーデバイスの大信号動作時のオン抵抗の低減策として重要な電流コラプスについては、パルス印加後の早いオン抵抗の変化に加えて、数10分から数100分のオーダーで変化する遅いオン抵抗の変化にも留意すべきことを指摘した。異常の検討結果を踏まえてデバイスを試作したところ、耐圧特性については、最適化した表面保護膜の採用により2000Vを超える優れた特性を確認した。 H27年度については、堆積膜の種類とプロセス条件、さらには多層積層膜の検討を通して成膜条件を最終的に最適化し、低オン抵抗と高耐圧特性を両立したMISゲート構造HEMTを実現する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度から、ゲート絶縁膜と表面保護膜について、実際にAlGaN/GaN HEMTに適用し、試作したデバイス特性を通して、その最適化を検討した。ゲート絶縁膜については、原子層堆積法(ALD)を用いたAl2O3膜を採用した。その初期形成過程について詳しく検討し、最適の堆積方法について知見を得た。また、酸素材料として、水(H2O)に加えてオゾン(O3)を検討し、特に後者の有効性を確認した。また、高誘電率膜(ZrO2)の多層積層構造についても検討を開始した。 一方、表面保護膜については、スパッタ法を用い、SiN膜、SiO2膜、SiON膜を検討した。3種の膜の中で、SiON膜が耐圧特性に優れ、かつ電流コラプスの抑制にも優れることを明らかにした。また、酸素プラズマ処理がHEMTの電流コラプスの抑制に有効であることを確認した。 パワーデバイスの大信号動作時のオン抵抗の低減策として重要な電流コラプスについては、パルス印加後の早いオン抵抗の変化に加えて、数10分から数100分のオーダーで変化する遅いオン抵抗の変化にも留意すべきことを指摘し、その対策についても評価を開始した。以上の検討から、AlGaN/GaN MIS-HEMTのゲート絶縁膜にはAl2O3膜を、表面保護膜にはスパッタ堆積のSiON膜が優れているという結論が得られた。また、耐圧特性については、最適化した表面保護膜を採用することにより、2000Vを超える優れた特性の達成に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
ゲート絶縁膜については、原子層堆積法(ALD)を用いたAl2O3膜のさらなる高品質化に取り組む。H26年度から開始したオゾン酸化を用いたAl2O3に加えて、高誘電率膜の堆積に条件の最適化についても検討する。また膜堆積の初期過程について検討を継続し、界面準位密度の小さい最適の堆積方法について検討する。 H27年度は、MIS-HEMTのデバイス試作を加速し、良好な直流特性に加えて、電流コラプスと耐圧特性の両方に優れたデバイス開発を実現する。また、成果発表を推進し、国際学会発表や論文執筆を積極的に行う。
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Research Products
(6 results)