2013 Fiscal Year Research-status Report
しきい値の変分を利用したハイブリッドシステムにおける周期解の設計とその応用
Project/Area Number |
25420373
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
上田 哲史 徳島大学, 情報化推進センター, 教授 (00243733)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アトラクタ / 周期 / 分岐 / ハイブリッドシステム / しきい値 / カオス制御 |
Research Abstract |
本研究はしきい値の変分に関する微分や周期解の安定性の検討がキーポイントであり,研究チーム内での議論によって,区分非線形系の分岐問題を解析するフレームワークの完成をみれば,当初計画の3次元区分非線形系の提案・解析は応用として解決できるという見通しがついてきた.したがって,本年度はしきい値に関する変分のより詳細な研究,および制御問題を中心に据えとして進めることとした.前者は適用モデルの選定や具体的な解析,後者については簡素な自律系区分非線形系に関する論文投稿を目標とした.特に後者のしきい値制御に関しては,数値計算とシミュレーションでは妥当性が十分検討できた.また,カオス制御系としてハードウェアの構成および制御実験を行い,結果をまとめ,論文として現在投稿しているところである. また,まだ未解決なハイブリッドシステムの分岐問題について取り組むこととした.その問題の一つとして,二次元非自律系+区分非線形系の分岐問題を取り扱った.状態にジャンプを有する非自律系はこれまで,周期外力の周期にあわせてポアンカレ写像を取る方法では,ヤコビアンの正則性の問題が生じ,分岐パラメータ値が計算できないことが多かった.このため,われわれは非自律系の自律系化を行い,ジャンプ条件でポアンカレ断面を取る方法を考案した.これによって分岐問題が円滑に計算できるようになり,現在,幾つかの力学系の例題について計算を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた1) 三次元区分非線形系の解析,2)その分岐構造,3)周期解の位相的分類・回路実現の検討,5)しきい値制御は,二次元自律系について,2)~5)が完成した.1)については手法についての理論的な検討は終えることができたが,まだ具体的な例については翌年度へ持ち越しとなった.しかしながら,本年度実績にかかる研究内容を背景に,その解析ツールなどの開発については目処がついている. 関連業績の国際会議発表や論文への投稿も概ね予定通り進捗している.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,既存の三次元非線形系を適当なセグメントに分割し,パラメータ値をそれぞれ異なる値に選ぶことにより区分非線形系を構成する.その後,指定の安定性を示すアトラクタにするためのパラメータ集合を解くアルゴリズムについて,具体的にニュートン法の適用を念頭に,境界値問題解法として記述することを検討する.ローレンツ方程式,レスラー方程式を選び,2名の学生が担当し,アルゴリズムの検証し,数値計算例を示すことによって妥当性を検討する. そののち,具体的な回路実装などの実現のある系について,ハイブリッドシステムを構成する例をとりあげ,周期解設計問題を定式化する検討を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予算策定時に想定した設備備品のオシロスコープについて,同程度の性能を示す機器が極めて安価に導入できたため,また,旅費等についても校費等で賄うことができたため,差額が生じた. 平成26年度中に開催される国際会議発表(スイス)に,予算策定時より追加で2名の参加を予定しており,繰り越し相当額が充当される.
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Research Products
(16 results)