2014 Fiscal Year Research-status Report
モルフォロジフィルタ(特に多重解像度DPT)による新しい生体環境信号解析法の開発
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25420422
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
吉川 昭 近畿大学, 生物理工学部, 研究員 (30075329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 久 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (50278735)
中迫 昇 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (90188920)
小濱 剛 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (90295577)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メディアンフィルタ / 線形フィルタ / 固視微動 / マイクロサッカード / LULUフィルタ / DPT / クロスオーバー現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
LULUフィルタ、メディアンフィルタに代表されるモルフォロジカルフィルタではエッジ保存能が通常の線形フィルタより優れていることが上げられる。しかし、雑音平滑化機能に関してはその限りでないにもかかわらず、雑音に埋もれたエッジを含む信号の平滑化処理に関して無批判にモルフォロジカルフィルタが使われることが多い。しかし、メディアンフィルタに限って言えば、単なる雑音平滑化性能は線形フィルタの方が有利であり、また、エッジ保存性能に関してもメディアンフィルタは十分大きなSN比の場合を除き線形フィルタと同程度に悪いことが比較的最近明らかにされた。ただ、エッジ保存性能と雑音平滑化性能を同時に考えたとき、実際にはどちらが優位か、これを判断する十分な情報はないことが分かった。本研究ではこの点に関し昨年度のシミュレーション結果に続き本年度は理論検討を行った結果、雑音分布の広がりがラプラス分布のように十分広い場合はメディアンフィルタが優れているが、ガウス分布と同程度かそれ以上に狭い分布の場合は実際的SN比のデータに対してすら線形フィルタの方が優位であることが分かった。このことに注意し、心電図、脳波、眼球運動(固視微動)あるいは移動物体間距離データなどのデータ処理を行いつつあるが、特にマイクロサッカードを含む固視微動の処理については標準メディアンフィルタだけでなく、DPTやメディアンフィルタのいくつかのヴァリエーション、さらに順序統計量の利用などを考えつつ、検討を進めている。また、検出分離されたマイクロサッカードのもつ生理学的意味に関する検討を行うとともに、マイクロサッカードを分離した後のドリフト成分のフラクタル的性質が単なるフラクショナルブラウン運動でなくクロスオーバー現象を持つとの報告をもとに、未だ判然としていないクロスオーバーの数学的意味について本研究では理論的に検討を加えつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度のシミュレーションによりメディアンフィルタと線形フィルタの比較の重要性が増したため、根本的な理論検討に入りそれに時間を割いた。また、固視微動中のマイクロサッカード検出の性能がだんだん上がるにつれ、それを除去した後のドリフト成分のフラクショナル・ブラウン運動的な性質に関しても情報が増え始めた。それに関連し本来のフラクショナル・ブラウン運動ではありえない現象(長期記憶過程におけるクロスオーバー現象)がはっきりしてきたため、特に、どのような数学的条件の下でそのようなことが起こりえるか、また、そのような現象におけるスケール指数の持つ確率論的意味は何かなどについて厳密な数学的検討を余儀なくされたこと、また、クロスオーバー現象を持つ固視微動発生の数学的モデルとそのシミュレーションを行ったことなどで多くの時間を必要とすることになった。これらのことにより当初の計画全体として見れば達成度はやや遅れることとなった。しかしクロスオーバー現象が起こるためにはフラクショナルガウス雑音に相当する過程の相関関数がどのような条件に従うべきかなどのことが明確になり、これによりクロスオーバー現象をフラクショナル・ブラウン運動の持続性、反持続性の概念に安易に結びつけるには慎重であるべきであることも分かってきた。これらの成果は有用な副産物と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究進展に伴い、モルフォロジカルフィルタと線形フィルタの使い分けに関する今までの情報の少なさが明らかになってきた。実用的観点から考えればこれは重要な問題である。また、本研究における主要な処理対象の一つである固視微動の確率過程論的性質に関する新しく重要な側面が副産物として明らかになりつつある。また、長期記憶過程としての固視微動のクロスオーバー現象の処理と解析の新しい局面も迎えつつある。今後本研究では、これらの問題点をさらに追求すると共に、各種メディアンフィルタ、LULUフィルタとDPTなどの非線形フィルタ、さらにはこれらに線形フィルタも加えた各種フィルタの性質と性能の比較検討、特にトレードオフの関係にあるエッジ保存性能と平滑化性能を同時に考慮した性能の定量的比較をシミュレーション的並びに理論的に行う。さらにこれら非線形フィルタの固視微動、胎児心電図、脳波、移動間距離などにおける信号検出と認識への適用をさらに検討するとともに、クロスオーバー現象を伴う長期記憶過程のスケール指数推定のためのスペクトル解析への応用などを行う。
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Causes of Carryover |
残額が端数になったため繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度初頭の費用に算入する。
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Research Products
(6 results)