2013 Fiscal Year Research-status Report
クローズドリサイクルの実現に向けた酸溶解液の選定と回収骨材の品質確認
Project/Area Number |
25420464
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
栗原 哲彦 東京都市大学, 工学部, 准教授 (50262746)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ギ酸 / 塩酸 / 規定度 / 再生骨材 / カルシウム分離 |
Research Abstract |
塩酸,硝酸,硫酸の強酸3種類と乳酸,ギ酸,酢酸,亜硫酸の弱酸4種類の計7種類の酸種を用いてモルタルの溶解実験を行った.その際に、モルタルの溶解状況および発生気体の確認を行った。その結果、各酸水溶液の規定度と溶解率の関係を調べると、両者には比例関係があり、7種の酸のうち、塩酸水溶液とギ酸水溶液が溶解に適していることが分かった.また、溶解開始直後から溶液の温度およびpHを計測したが、その結果から溶解完了の時期を読み取ることができなかった。溶解完了の判断方法については、さらに検討が必要である。 ギ酸水溶液(濃度15%および20%)を用いてコンクリートの溶解実験を実施し、再生骨材の回収を試みた。その結果、H規格に該当する再生粗骨材とL規格に該当した再生細骨材を得られた。さらに、塩酸水溶液(濃度10%)を用いてコンクリートの溶解実験を実施し、再生骨材の回収を試みた。その結果、ギ酸と同様に、H規格に該当する再生粗骨材とL規格に該当した再生細骨材を得られた。これより、ギ酸・塩酸から比較的高品位な再生粗骨材を得られることが分かった。また、粗骨材をギ酸および塩酸に浸漬させ、表面の変化を電子顕微鏡で観察したが、特に変状は見られなかった。これより、酸により骨材へのダメージはないものと判断できた。 溶解後のギ酸水溶液および塩酸水溶液に水酸化ナトリウムあるいは炭酸ナトリウムを添加し、カルシウム分の分離を試みた結果、ギ酸水溶液からカルシウムを沈殿させることに成功した. 溶解中の発生気体は、調査より二酸化炭素濃度であることが判明した。 以上より、クローズドリサイクルに向けた有益なデータが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に掲げた平成25年度の研究実施計画では、(1)各種酸溶液のモルタル溶解状況および発生気体の調査から最適酸種と濃度を決定する、(2)粗骨材の酸溶液浸漬の影響に関しては、平成25年度の研究から次の成果を得た。(a)7種の酸溶液を採用し、その中から最適酸種および濃度を決定することができた(最適酸種:ギ酸、塩酸)。(b)骨材をギ酸・塩酸に浸漬させたが、特に変状は認められなかった。さらに追加した研究により (c)ギ酸・塩酸水溶液によりコンクリートを溶解した結果、H規格の再生粗骨材およびL規格の再生細骨材を得た。(d)溶解後の酸溶液に水酸化ナトリウムおよび炭酸ナトリウムを単純添加することでカルシウム分の分離に成功した。 以上より、当初掲げていた平成25年度の計画は、順調に進行し、有用な成果を得た。ただ、当初予定していた溶液のpH計測において、一部不備があった。 これより、研究達成度を90%と評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の成果を受け、平成26年度は以下の実験を行っていく。 (1)溶解期間中における再生骨材の密度および吸水率の変化を調査する。 (2)「作製→破砕→溶解→骨材回収→物性値確認」のサイクルを複数回実施し、骨材の長期使用を検討する。 (1)より、溶液温度から判断できなかった最適溶解期間の検討を行う。また、溶液のpH計測に関しては、平成26年度に改めて実施し、溶液の状態変化を捉えることを試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
調査出張として計上していた当初旅費の未使用によるものである。その原因として、当初累計6名程度を調査出張を予定したが、3~4名ほどに変更された、および調査出張先が比較的首都圏近郊に変更されたためである。 平成26年度の実験において、ギ酸および塩酸を多量に使用することになる。その溶液購入費に充てる予定である。また、平成26年度は、高松および大阪に調査出張を予定している。その旅費の一部に充てる。
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Research Products
(1 results)