2013 Fiscal Year Research-status Report
顕著な不整形地盤上に立地する都市における南海地震の地震動予測-高知市に着目して-
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25420486
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
三神 厚 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (10262122)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 地盤の常時微動観測 / H/Vスペクトル比 / 高知平野 / 沖積低地 / 不整形地盤 / 南海地震 |
Research Abstract |
鏡川や江ノ口川等によって形成された河口部の沖積低地に位置し,顕著な不整形地盤に立地する高知市について,地盤モデルの構築を行うことが,平成25年度の主な目的である.そのためには,地盤情報データベース等を用いて基盤構造を推定するとともに,高知市全域において地盤の常時微動観測を実施する必要がある. 「こうち地盤情報公開サイト」など,各種地盤情報データベースや高知地盤図などの文献をもとに,高知市の基盤構造を推定していった.基盤構造の深さとしては,沖積層基底面深度と基盤岩上面深度の2つの可能性が見出された.地盤のボーリングデータにおいて,N値が50を超えるような基盤(岩盤)は,後者に対応している.基盤が非常に深く(60mを超える),ボーリングがほとんど到達していないエリアが存在することもわかってきた. 地盤の常時微動観測を高知市市街地をほぼカバーするよう,できるだけ等間隔となるよう70点で実施した.また,基盤深さが非常に深い地点において,長周期センサーを用いた地盤の常時微動観測を実施した.基盤岩上面深度が,概ね,地盤の常時微動のH/Vスペクトル比のピーク周波数に対応していることが見出された. 常時微動のH/Vスペクトル比のピーク周波数と基盤深さの関係について,地盤のインピーダンス比に着目し,詳細に検討するため,データを所持する各種機関に依頼し,PS検層データをできるだけ多く集めた(現在までに高知市内の7地点のデータを入手した).これは構築したモデルをキャリブレーションする意味でも非常に重要である. 以上をもとに,擬似3次元地盤モデルのための地盤のモデル化を行い,固有値解析を実施した.その結果,沖積層が厚い河口部で地盤の揺れが顕著になる傾向が認められた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
地盤情報データベースをもとに,高知市の基盤構造を整理しながら,地盤の常時微動を行い,地盤モデルを構築していったが,基盤が大変深く,基盤まで到達しているボーリングが非常に少ないエリアがあることがわかった.この場所では,基盤深さを明確に特定できておらず,既往の研究成果を近似的に用いている.また,地盤の常時微動観測の実施点数が70点で,当初,目標としていた130点に達していない.平野の辺縁部で,基盤が傾斜していると思われる場所において,公園等の微動観測実施場所が十分見いだせなかったためである.これらの点が課題として残っているので,現在までの達成度を「やや遅れている」と評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には,平成26年度の研究計画に従い粛々と進めるが,その中で,高知市において文献調査により揺れに関する体験談を収集する予定となっているので,その機会を利用し,地盤の常時微動観測を追加実施する.また,地盤のモデル化に関して,高知平野を対象に行われた既往の研究成果を積極的に活用する(例えば,微地形区分をもとにした地盤モデル化など).高知平野の埋立ての歴史的な側面からもアプローチし,地盤モデル構築に積極的に生かしていく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品請求時の金額に比べ,納入時の金額が若干,低くなったため. 少額なので,次年度予算と合算し,合理的に使用する.
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