2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25420491
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
丸山 收 東京都市大学, 工学部, 教授 (50209699)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 上水道システム / 地震リスク解析 / 中心極限定理 / 地理情報システム / ハザードマップ / 空間的被害相関 |
Research Abstract |
対象地区の上水道システムの地震ハザード情報を地理情報システムにより,メッシュ単位にデータベース化する作業を進めた.対象地区に関係するシナリオ地震を設定して,埋設管の管種・管経ごとに標準被害率および平均被害箇所数を算定した.次に作成したデータベースを基に,地震による構造的被害損失のPMLを算出することを行う.構造的な被害に関しては,被害箇所数が大きな数となるときに中心極限定理による効果的な評価法を開発しているが,被害の空間相関を取り込むために,相関を有する確率変数の和に関して,どの程度までの相関ならば中心極限定理が成立するかどうかをモンテカルロシミュレーションにより検証した. この点に関しては,理論的な側面は解決されているが,実際の物理現象からモデル化を行うことが必要であり,実データによる被害分布特性の検討を行い,モデル化の妥当性を検証している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
機能的な損失評価を行う.機能的な損失は,需要家の断水確率を評価することが必要である.この際,上水道システムをノードとリンクからなるナットワークとして与え,ネットワークの連結性および冗長性を考慮した解析を行い,需要家に供給できる水量を確率的に評価することを行うことが必要となる. 本研究では,ネットワークにおける被害個所数を与え,効率的なモンテカルロシミュレーション法を提案して,各需要家の供給水量の確率分布を評価することを行う.ただし,各需要家への供給水量の確率分布は,ネットワークの形状に依存して,単純に正規分布に収れんしないので,応答曲面法などで,得られたサンプルから確率分布を推定する手法が必要となるので,この部分の研究を進める必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では,地震リスクを評価する手法としてPML(Probable Maximum Loss)を用いている.対象都市の水道システムの下層配水管配水管網を解析対象として,評価期間50年の確率地震を想定する.そして,配水管ネットワークの構造的被害および断水による機能的な損失額を算出し,PMLを評価指標とした地震リスクカーブを求める.また,配水管ネットワーク の損失額を評価する際に,ネットワークの連結性を考慮した膨大な損傷イベントの組み合わせ問題を効率的に解くことを提案し,ガウス分布で近似される損失額の確率密度関数を求め,それを解析的に積分することにより,PML指標を算出する. ただし,機能的な被害損失の評価を行う際に,ネットワークの連結性を考慮した解析を行うが,現実的な100万人規模の都市域におけるネットワークシステムのモデル化に関して,課題が残されており,現在検討中である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
地震ハザードに用いるデータの一部が必要なかったために次年度使用額が生じた. この使用額は,ネットワーク解析用ソフトウエアとして次年度に使用する予定である.
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