2014 Fiscal Year Research-status Report
社会的相互作用を考慮した自動車交通からの温室効果ガス削減シナリオの検討
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25420549
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
奥嶋 政嗣 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (20345797)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 社会的同調性 / 道路課金 / マルチエージェントシミュレーション / 電気自動車 / 階層ベイズモデル / 温室効果ガス排出量 / 健康意識 / 意向調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,課金システムに対応した行動モデルとして,「交通手段変更モデル」および「保有車両更新モデル」の精緻した.また,これらのモデルと社会的ネットワークモデルを連動させた「マルチエージェントシミュレータ」の基本システムを構成し,自動車からの温室効果ガス排出状況の推移を推計可能とした. 1.自動車依存度の高い地方都市である徳島都市圏を対象として,健康意識と通勤での自動車利用の転換意向に関するアンケート調査を実施して,健康意識に対応した情報提供による転換意向の形成効果を検証した.この結果,身体活動量,疾患リスクおよび地球環境問題についての情報を組み合わせたモビリティマネジメントが効果的であることを示した. 2.課金システムの設定および公共交通サービス水準に対応した「交通手段変更モデル」について,階層ベイズモデルの適用に関して見直し行い,モデルの精緻化を図った.この結果として,通勤交通手段の転換意向形成要因として,社会的同調効果において個人により正負それぞれの影響を表現するとともに,環境意識の差異が影響することを示した. 3.クリーンエネルギー車両(CEV)への更新に関しては,課金システムの設定に加え,購入補助金,急速充電施設整備,技術革新による走行可能距離の増加との関係にも対応した「保有車両更新モデル」について,モデル構造を見直して,モデルの精緻化を図った.また,階層ベイズモデルの適用を行い,個人の異質性を考慮可能とした. 4.社会的ネットワークによる局所的相互作用の影響による交通行動者の意識・選好の変遷を考慮したシミュレーション(交通需要推計)を可能とするために,マルチエージェントシミュレータを構成し,「交通手段変更モデル」と「保有車両更新モデル」を連動させるとともに,「地理的な要素を考慮したスモールワールドネットワークモデル」を組み込んだ.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
健康意識と自動車通勤からの転換意向に関するアンケート調査を予定通り実施できている.自動車からの温室効果ガス排出状況の推移を推計可能とすることを優先するために,「ネットワーク交通流シミュレータ」との連動を次年度に実施することにしたが,当初は次年度に予定していた社会的ネットワークモデルを連動させた「マルチエージェントシミュレータ」の基本システムを構成できている.データ同化技法の適用に関しても検討を開始できている.
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Strategy for Future Research Activity |
社会的相互作用を考慮した「マルチエージェントシミュレータ」の基本システムに,ネットワーク交通流モデルを統合し,「マルチエージェント型ネットワーク交通行動シミュレータ」を構成する.このシステムにより,交通渋滞による温室効果ガス排出量への影響も加味しながら,課金システムの設定および公共交通サービス水準・自転車利用環境,モビリティマネジメントの効果の推移を計測可能とする.最終的に,効率的な排出削減シナリオを導出する.
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Causes of Carryover |
当初計画では高速計算用コンピュータの購入予定であったが,計算負荷の高いネットワーク交通流シミュレーションの統合を次年度に行うこととし,必要なときに最新機能を備えた計算機を購入することを考えて,次年度に予算執行を一部保留した. また,国際学会での発表のための外国旅費を計上していたが,国内での開催のある国際学会での研究発表がより適切であることから,予定を変更したため,旅費の使用が少なくなっている.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度の当初に高速計算用コンピュータと開発環境ソフトウエアをあわせて購入して,計算システムを構築するために使用する予定である.
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Research Products
(5 results)