2015 Fiscal Year Annual Research Report
界面化学性状に基づくセメント硬化体の物質移動メカニズムの解明
Project/Area Number |
25420565
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
胡桃沢 清文 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40374574)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | セメント硬化体 / フライアッシュ / 高炉スラグ微粉末 / 微細構造 / 溶液組成 |
Outline of Annual Research Achievements |
コンクリートの耐久性はその物質移動特性に大きく依存しているため、それを明らかにすることによって鉄筋コンクリート建築物の長期耐久性能を維持することが可能となる。その物質移動特性は、水和により生じるセメント水和物によって形成される空隙構造とその表面性状に大きく依存しているが、表面性状と移動する物質(水やイオン等)との相互作用について詳細に検討した研究はない。そこで本研究では物質移動特性の中でもイオンの移動特性に着目してその移動メカニズムをセメント水和物の表面性状の観点から明らかにすることを目的とする。セメント硬化体の物性に及ぼす空隙構造及び細孔内溶液の影響を検討した結果下記の結果が得られた。 ・水酸化ナトリウムやその他の無機電解質を加えセメント硬化体内部の細孔内溶液組成を変化させた硬化セメントペーストの物質移動特性は空隙構造だけでなく溶液組成が影響を及ぼすことを明らかにした。 ・フライアッシュや高炉スラグ微粉末を混和したセメント硬化体の物質移動特性は、空隙構造だけでなく生成される水和物、特にC-S-Hと細孔内に存在する溶液組成に依存することを明らかにした。 ・カルシウムを選択的に溶脱させた硬化セメントペーストの塩化物吸着能は溶脱前と比較して著しく低下することを明らかにした。これは高炉スラグ微粉末を混和した試料においても同様であり、溶脱によって変化したC-S-Hのカルシウムとシリカの比率に比例して低下することを明らかにした。 以上の結果よりセメント硬化体の物質透過性能は空隙構造だけでなく、生成された水和物と内部の溶液組成に依存することを明らかにした。
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